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陽だまりの詩
【純愛 恋愛小説】

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陽だまりの詩 1-2

目的の部屋に入る。
すぐにその部屋の住人と目が合った。
「よう」
「バカ兄貴!!部屋に入るときはノックしてって何回言ったらわかるのよ!」
「……忘れてた」
「その返事も聞き飽きたよ!はい、やり直し」
「お前とのその掛け合いもやり飽きたぞ」
「あんたのせいでしょーがっ!!」
「……お前、こんなイケメンでバリバリ金稼いでるお兄様に向かってあんたはないだろ」
「あら、今までにない新しい返し」
「……忘れてたんだよ」
「なにを?」
「兄貴だってこと」
「……」
「冗談だ、ほらこれ」
「うっわ、忘れてた、ありがとう」
「……お前さ、女の子向けのファッション雑誌をこんないい歳した男が買ってキモイと思うか?」
「果てしなくキモイ」
「じゃあ頼むから忘れないでくれ。毎月俺なりにどうやって変な目で見られないかを考えて頑張っているんだ」
「……」
雑誌に集中してら。

コイツは俺の妹の美沙(みさ)。
生まれつき体が弱くて、学校が長期休暇のときはだいたい入院している。
ちなみに俺が十歳のときにできた妹だから、本当に可愛がっている。
もっとも、最近は反抗期らしくて俺に対してめちゃくちゃ冷たい。
まあ女の子はいつかこうなると思ってはいたが、うちには父親はいないから、その父親のようなそうでないような立場にいた俺は非常に寂しい。

美沙は今年で十六歳。法律上結婚もできる年齢である。
だが俺は結婚なんて絶対に許さない。彼氏なんて連れて来られた日には真面目に泣いてしまいそうだ。

俺のことを、二十六のおっさんの癖に十も離れた妹を溺愛するロリコンシスコン野郎だと思った方も当然いるかもしれない。

だが考えてほしい。世の中にはこんな人間だっているんです。
たった一人の歳の離れた可愛い妹を大切に思いやる気持ち。
なんて素晴らしいことなのだろうか。

「……なにニヤニヤしてんの、バカ兄貴」
「ああ、お前のことを考えていたところだ」
「エロ兄貴」
「俺はお前のことを性的対象とも恋愛対象とも思ったことは一度もない」
「ならなんなの」
「家族愛だよ、うん」
「ロリコンシスコン野郎」


すぐ近くにそう思った人がいました。


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