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光の風
【ファンタジー 恋愛小説】

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光の風 〈風神篇〉中編-6

「何?何があったの!?」

リュナに上着を着せながら、その質問にレプリカは答えた。

「魔物の襲撃です。おそらく城門を突破されたのかと。」

 レプリカの言葉にリュナは反射的に景色が見える所まで走った。後ろの方でレプリカの声が聞こえた。

部屋につながる扉を開け、そのまま窓へ走り急いで開けた。身を乗り出して外の様子を伺う。

目に映ったのは爆煙が巻き上がり、戦場と化している広場だった。

「血の臭いが風に混ざってる。」

リュナの表情は厳しかった。レプリカが追い付いてリュナの横につく。

「広場まで入ってきてる。少し援助をするわ!」

リュナは右手を胸元に当て、風の精霊・社の名を呟いた。その瞬間、リュナを中心に風が巻き起こる。その風圧にレプリカは押され、よろけた態勢を急いで立て直した。

その風の強さは今までとは明らかに違う。

「凄い…。」

レプリカの声が風に消される。自分でも気付かないうちに呟いていた言葉、社の力か、それとも。

「風よ!」

リュナが指差した場所。

一瞬の間を置いて、リュナの風は魔物だけを切り裂いた。大量に、それは広場にいる魔物全てを倒してしまった。

 レプリカの目にも信じられない光景として映されている。彼女の力はここまでに強かったのだろうか?

手際良く広場への入り口、城門付近に風の壁を作り体を部屋の方へと戻した。

「あれだけじゃ少しの時間しか稼げないわ。」

視線は未だ広場へ向けたままだった。目に映る魔物の亡骸と傷ついた兵士達、リュナの表情は曇るばかりだった。

視線をレプリカに戻す。

「カルサを捜さなきゃ。」

そう言うとリュナは左手で小さく宙に円を描き、そのまま扉の方へ指先を向けた。彼女の指先の軌跡は風を生み、そのまま扉の方へと流れていく。

「風にカルサの反応が捕まるまで待ちましょ。」

リュナが再びレプリカに視線を戻すと彼女は足元にしゃがんでいた。

「リュナ様、靴をお履きください。」

靴を差しだしリュナの足を待つ。リュナは初めて自分が裸足であることに気付き、慌てて足をはらって靴を履いた。

「ありがと、レプリカ。」

リュナの声に微笑み、立ち上がり彼女の左腕を取った。そして手首にさっき落とした首飾りを巻こうとした。

「こんなに痩せて…首に飾りましょうか。」

レプリカは後ろに回り、リュナは髪をあげてそれを待った。少し眺めの首飾りは飾りの部分が服に隠れてしまう。


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