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光の風
【ファンタジー 恋愛小説】

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光の風 〈風神篇〉中編-16

「帰りなさい。」

「探しているのよっ!」

「ここにはいない!!」

ロワーヌの悲痛な叫びにリュナは剣で答える。

まるで突風のように瞬間的に近付き、勢い良く両手で剣を振り下ろした。




――ッダメ!!




「!!」

リュナが息を飲んだ瞬間だった。

覚悟をして身構えていたロワーヌも同じ様に息を飲む。

「永!?」

リュナは思わず後ずさった。かろうじて手にしている剣が彼女の気持ちの強さを表しているように見える。

しかし、後ずさりは止まらない。ようやく止まった時はロワーヌの全身を見渡せる程だった。

そこには、まるでロワーヌを守るように包む白い翼があった。しかしどこか微弱な白、よく見ると透けている。

「何、この光…?」

思わず口に出てしまった。微弱な翼は光輝くことで強さを見せているようだ。

しかし時間と共にそれは消え失せていく。リュナとロワーヌを隔てていた物が薄れていった。

まるで、時間の流れが遅くなっているかのように感じられた。



「リュナ!!」

後ろからリュナを呼ぶ声がする。振り返るとカルサが立っていた。

「カルサ。」

感情よりも先に声が出ていた。改めて思いを声に乗せ、名前を叫ぶ。

「カルサ!!」

カルサの存在に気付いた瞬間、消えかかった翼を越えてロワーヌが飛び込んできた。目一杯に手を伸ばしリュナの手を掴もうと走ってくる。

「リュナ!!」

カルサの叫びと表情に危険を感じ、リュナは反射的に振り返る。ロワーヌがもう、すぐそこまで来ていた。

彼女の指先が触れるのは、近い。

無意識に、本能で覚悟をし身構えた時だった。



 鈍く怪しい光が一瞬よぎる。

ロワーヌの動きが止まった。動きを止めていたリュナの体が、瞬きから動きだす。怪しく鈍い光は刃物の輝きだと気付き、その持ち主は。


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