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光の風
【ファンタジー 恋愛小説】

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光の風 〈風神篇〉中編-15

「目障りだわ。」

リュナは身構える。自らの風を押さえ、来るべき時を待った。

「ナルさんを…殺したのね。」

自然と目に涙が浮かぶ。今その言葉を言えたのも不思議なくらいだった。ロワーヌはリュナに向かい打つように真っすぐに返した。

「ええ、殺したわ。」

彼女の声がした瞬間、風がなくなった。

無風の空間に強く響いた肯定の声、リュナの手は固く握られ震えていた。

「また、太古の因縁。」

今まで押さえ込んでいた感情が、ふつふつと沸き上がっていくのが分かる。

どうして、何故、こんならなければいけなかったのか。自分ではどうしようもない事が次々と起こり傷ついていく。

腑甲斐なさや、やるせなさ、己の無力さに腹が立って仕方ない。

「ここはオフカルスじゃない、何もかもが違うのに!」

今こそ、戦う時なのだ。

「帰りなさい!これ以上、誰も傷つけさせない!」

それは怒りに似た感情、それでも何でも良かった。気持ちを奮い立たせ力を漲らせるものなら尚更の事。戦う為にプラスになるなら、選ばない。

リュナの風が彼女の闘志のように吹き荒れる。さっきまでとは桁外れに違う力、遠くにいてもリュナの居場所が分かる程だった。

彼女の瞳はただ1つ、ロワーヌだけを捕らえている。

「セリナ、という子を探しているのよ。」

ロワーヌの気持ちに構わずリュナは攻撃を仕掛けた。無数のかまいたちが彼女を襲う。

「!!」

確かに襲ったはずだった。

しかし、風は彼女を横切り消え去っていく。リュナの風は彼女の髪を激しく揺らしただけだった。

手応えがあった分、リュナは驚きを隠せなかったが、すぐに平常心を取り戻した。トリックなどではない。

「自分に結界を張っているのね。」

ロワーヌは微笑みで答える。リュナは風を止めた。

再び二人の睨み合いが始まる。

「セリナという子を探しているのよ。」

ロワーヌはもう一度呟いた。

「探しているの。」

切実な声。それでもリュナの気持ちは揺るがなかった。ロワーヌの声に耳を傾けるつもりはない。

リュナは静かに右手に風を集め剣を作った。それを確認し、再びロワーヌに視線を戻す。


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