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光の風
【ファンタジー 恋愛小説】

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光の風 〈風神篇〉中編-10

「寄り道はここまで。」

リュナから自然と疑問符がこぼれた。しかしライムにはもう戦う気は明らかにない。

「じゃあね、風神。」

そう言い残すとライムは屋根から飛び降り、姿を消した。

「ちょっと待って…ライム!!」

リュナの声はむなしく響いた。下を覗き込んでもライムの姿はない。

「リュナ様!」

レプリカが少し足を引きずりながら屋根の上を駆けてきた。それを見たリュナは心配で彼女に駆け寄る。

「レプリカ!無茶したらダメじゃない!」

「それよりも、ライムは!?」

レプリカの気持ちに折れ、リュナはレプリカの問い掛けに首を横に振って応えた。逃げられた、それはすぐに分かった。

「とにかくカルサの所へ急ぎましょう。」

「はい。」

リュナの言葉を合図にレプリカは回れ右をして進み始めた。続こうとするリュナは後ろ髪をひかれるように足を止め、ライムが消えた方向を横目で見た。

後ろの異変にレプリカが気付く。

「リュナ様?」

「なんでもないわ。カルサの居場所も分からなくなったし、こんな戦場じゃもう探せないと思って。」

「そうですね。」

とにかく下りて探しましょう、リュナの言葉で二人は走りだした。

しかしリュナの頭からライムの存在が離れなかった。彼女の言葉のすべてが意味深なものに聞こえている。

気になる事は色々あった、しかし中でも気になるのは最後の言葉。

「玲蘭華様…か。」

走りながらもれた小さな言葉、確かにライムはそう言った。何故だろう、彼女は御剣で自分達の仲間だろうか?

だとしたら、この襲撃に一体何の意味があるのか。それはカルサになら分かるのだろうか。空はいつのまにか薄暗く覆いつくされていた。

「レプリカ、貴方は民の部屋に行って。」

リュナの声が大きく響く、レプリカはもちろん反論せずにはいられなかった。

「リュナ様!」

「足と腕、そのままじゃ危ないわ!一度手当てしてもらわないと。」

走り方もおかしくなり、左手で右腕を支えるほどだった。明らかに戦力になりえない。

それはレプリカ自身が一番良く分かっていた。今だって精一杯の力と気力で立っている。

でも、それでも盾になる事はできる。


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