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嵐が来る前に
【学園物 官能小説】

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嵐が来る前に-1

―序章―

 僕こと鳴海晶は、市立成修中学の二年に在籍する、どこにでもいる普通の男子中学生。
 のはずだったんだけど……。
 僕がその異変に気付いたのは夏休みが始まる前の、去年の今頃だった。

『何かおかしい…?』
 初めは何がおかしいのか自分でもよく分からなかったが、文化祭の時期になった時、はっきりそれに気付いた。
 胸が微かに柔らかく盛り上がり、股間に生えている物が目に見えて小さくなっていたからだ。

 それから春先になって、二年に進級する頃には小降りではある物の、裸になればすぐにそれと分かるほどに成長した双丘。
 男の証は完全に姿が消え、その代わりに出現した一筋の亀裂。
 そんな状態になっていた。
 つまり早い話が、女の子になってしまっていたのだ。

 この時期、普通なら『背が伸びる』『股間に毛が生える』『声変わり』『筋肉が付く』等という変化があるはずなのだけれど、何一つとしてそんな変化は起きなかった。

 まぁ、ウチの親が世間体を理由に引っ越すような、みみっちい了見の持ち主でなかっただけ、幸せと言えば幸せだろうか。
 父さん達からすれば、年頃の娘が何の脈絡もなく、いきなり出来たのだからそれ位の慌てようは、やむを得ないのかも知れない。

 とにかくそんな両親を冷ややかな目で見ている内に、こっちは冷静になってしまい。
「ま、いつでもタダで女の子の裸が見られるから、いっかぁ…」
 などと最後には思春期な男にありがちな、不埒な理由で現状を受け入れた。


 正直、最初はそんな変化に平静ではいられなかったが、それ以上にパニックになってたのは回りの家族の方だった。
 父さんは今まで息子として育ててきたのが突然娘になり、どう接していい物やらまるで腫れ物でも扱うような態度になるわ。
 母さんなんかは自分の子供と言うより『親戚の娘を引き取った』或いは『ウチに来た嫁』みたいな感じで、いきなり僕に『花嫁修行』と称して家事を手伝わせようとするわ……。
 逃げたけど…。

 それからも俺は女の子になった体を隠して、今まで通りの生活を続けていた。
 だけど、学校の皆に黙っている事に後ろめたさを感じたり、そもそも隠し続けるという事にも疲労を感じたりはする。

 そんな生活でほっとするのは、四つ年の離れた弟である優の存在だった。
 まだ幼い為か優だけは、女の子に変わった事を知っていがら、以前と変わらない態度で僕になついてくる。
 それがささくれかける僕の心を、何度救ってくれた事か…。


 そんなこんなでどうにか男として生活してきたけど、もうすぐ水泳の授業が始まる。
 去年はまだ膨らんではいなかったから何の問題もなかったが、今年はそうも行かない。

 何とか乗り切れる方法でもあればいいんだけど……。


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