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赤い靴
【青春 恋愛小説】

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青い春-2

やめよう、こんなことを考えるのは。

ココアを一気に飲み、缶をゴミ箱に入れた。

捨てられた缶と今の私が重なって見えて、ほんの少し悲しくなった。



自販機の前から学校を見上げると、職員室の明かりはまだついていた。

まだ、ナオ仕事してるのかな。

つい足が校舎に戻ろうとしているのに気が付いて立ち止まった。



辛いとき、私はいつもナオに頼ろうとする。

父がいなくなった時、私はナオの家まで走って行き、ナオに会って初めて泣き出した。彼氏に二股かけられた時もナオに愚痴を聞いてもらった。
ナオはいつもただ黙って私の悲しみが薄れてゆくのを待っていてくれて、私はそんなナオの優しさに甘えていた。

でも、私だってもうすぐ17になる。
これ以上ナオに甘えてはいけない。1人でも悲しみと闘わなければ。

いつかはナオも私から離れる。
いつか来る大きな悲しみに、耐えられるように。



このまま家に帰ろうと思って校門の方へ足を向けたそのとき、私の方へ向かって校舎から見知った人影が近付いてきた。

「ナ…オ…?」

「おー、サチじゃねぇか。こんな時間まで部活か」

そこら辺のオヤジがよく言う台詞を言いながら手を振ってこちらに来た。

「あー、うん。まぁ大会はこの時期ないから暇だけどね」

「へー」

「ナオは仕事?」

「おぅ。今は休憩よ」

ナオは小銭を自販機に入れてコーヒーを買う。落ちてきたそれをその場で開けて飲み始めた。

「で、お前はまた何かあった訳か」

「えっ?」

「顔にそう書いてある」

ニヤニヤしながら頬を指差すから、描いてある訳がないのについ頬を押さえてしまう。


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