嫉妬少女・美冬とくるみ2-1
あれから美冬はくるみを観察し続けている。
可愛くて運動神経も良く、テストも常に一番。
絵に描いたような完璧美少女・西木くるみが転校してきてから、勉強しかとりえのない日高美冬は、その唯一誇りとしていたものを奪われたのだった。
しかし、真山先生に取り入って問題用紙を入手しているという、くるみの事実を知った今、美冬はくるみ退治に必死だ。
毎日、授業が終わるとくるみの行動を監視。
土日も可能な限りくるみを見張った。
真山とくるみが密会するのは毎週水曜、第二校舎の三階角の空き教室。
それと、たまに土曜。隣の市のN駅裏近くのラブホで。入退は別々でぬかりない。
だが、テスト不正についての決定的証拠はつかめないままだ。
あの日の一度しかくるみは不正の事実を口にしていないのだ。何度でも喋ってくれるのなら、携帯のムービーででも撮ってその事実を残せるのだが…。
「西木?休みか?」
世界史教諭の岡野が出席をとっている。この岡野、見た目は冴えないがどこかの有名大学をでているらしい。
「気分が悪いって医務室行きました〜。」
誰かが答えた。
美冬はカチカチとシャープペンシルの芯を出し、ノートにメモった。くるみと真山についての情報を書き留めているノートだ。
『火曜二限目、体調不良で医務室』
世界史が終わりもうすぐ三限目だというのに、くるみは戻らない。
美冬はノートをめくり、真山の担当時間割を調べると、火曜の三限目は空いている。
どこかで会う気だわ!
美冬は慌てて教室を飛び出した。
三限目始業の鐘を聞きながらとりあえずくるみがいるかどうか確認しようと医務室へと急いだ。
医務室のドアには保険医不在の札が掛けられているが…鍵はかかっていなかった。
中に入り、ゆっくりとドアを閉めた。
医務室にはベッドが二台ある。手前はカーテンが開けられ誰もいない。
奥は…カーテンが閉じられていた。
見える範囲で室内に人は確認できなかった。
が、ドアを開けた時からずっと奥のベッドから声が聞こえていた。
それは西木くるみと真山の声だ。
美冬はそっと奥と手前のベッドの間の隙間に潜んだ。
「あっ、あ…ぁん…」
「くるみ…こんなに濡れて…」
「やぁ…言わないでぇ…。あ…あぁ…」
チュクチュクと何かを混ぜるような音がしている。
「あ、せんせっ!あぁっ…だめぇ…ソコ、だめ…ぇ…あん…あ、あ、んはぁっ!!はぁっ、あ…」
ギシっ!
ベッドが軋んだ。
「…今日、イクの早いね…」
「だって…はぁ…授業中にするの…初めてだもん…。ドキドキしちゃうよ…。」
「あ、そういえば…鍵…かけたかな…。」
ドキッ!
隠れている美冬は身を縮めた。