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社外情事?〜気晴らしの酒と思わぬ睦事〜
【その他 官能小説】

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仮装情事。〜鉄の女と人気レイヤー〜-12

「…んくっ…」

だから、全部飲み込んだ。
今までそんな「汚い行為」などした事なかったのに。

「……ああ…むせてしまいそう…」

しかも、あるだろうと思っていた不快感が不思議と存在しない。顔をしかめるどころか、嬉々としてその生臭さを味わっている。
「……京香さん…」
一方、息が整った彼は、私が自分の口内に吐き出されたものを嬉々として受け入れている事に、若干驚いていた。
その時に呟かれた「京香」の名前。それが私の理性を、呼び戻す。

「……正直驚いたよ」

最初に呟いたのは、哲也とは別種の驚き。
「舐めるだけで濡れてしまうなんて……今までなかったよ」
濡れる事のなかった「鉄の女」がいとも簡単に濡れてしまった、という事実に対する、驚き。
「…今まで…?京香さん、誰か付き合ってる人でもいたんですか?」
その驚きを聞いた哲也は、特に躊躇うわけでもなく、無粋な質問を投げかけてきた。普通の相手なら機嫌を損ねそうだが、私の場合は特に何でもない。こっちも躊躇う事なく、彼の質問に答えてやる。
「ん……まあ、何人もね」
「…何人も…ですか?」
「ああ。言い寄ってくる男はいたんでな。……だけど、毎度同じ理由で別れてた」
そう言ったら、彼は黙り込む。だがここまで言ってしまっているから、こちらは黙るつもりなどない。
「…前戯をいくらやってもらっても濡れなくて、本番ができなかった。だから、彼氏が欲求不満でセフレとかに走る前に別れてた。私は嫉妬深いらしく、体だけの関係ですら許せなくてな。それでこじれる前に、自分のためにも…と思っていたんだ」
そこまで言い切って、私は一旦口を閉じ、哲也の様子をうかがってみた。
「……」
彼は黙って俯き気味。少し重たい感じに話してしまっただろうか。
まあいい――私は近くのティッシュを取りながら、ふと呟く。
「…本当に不思議だよ…今まで何をされても濡れなかったのに、君のを舐めるだけで容易く濡れてしまうだなんて…」
「…そうですね…」
対する哲也の相槌は、やっぱり暗い。
…正直、このままだと少しやりにくさを感じてしまう。
だから、哲也の気持ちを少し和らげようと思って、軽い戯言のようなものを言ってみる事にした。

「…もしかしたら、私はコスプレHでしか興奮しないような女だったのだろうか……なあ?」

と。

「…!」

哲也が顔を上げた。
一瞬だけ、「ウケたか?」と思った。だが、よく見ると…というかよく見なくても、それとは様子が違う。
「…そうだ…」
なんとなく、何かに気付いたような感じ。
だが、私は何か問いかけた覚えはない。
「それですよ京香さんっ!」
にもかかわらず哲也は、床にできた白い水たまりをティッシュで拭こうとしていた私の手をとり、さも答えが出たような顔を見せる。
…「それ」とは何だろうか。
そう思っていると。


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