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捨て猫
【コメディ 恋愛小説】

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捨て猫-8

「ねえ、それよりこの格好落ち着かないんだけど」
不快そうに眉をひそめ、見せつけるようにクルリと回る。
白いワンピースに、麦わら帽子。
たしかに、まるでどこかの田舎の名家の娘のような格好だけど、そんな少々現代的で
ない格好であっても、彼女はそれを気にする性格でもない。
現に雨の日に空き地でTシャツ一枚で過ごしていたわけだから。
「別におかしな所はないと思うけど。着なれてないから?」
「そう。これ」
突然現れる純白。
いや純白というより、白をさらに大それさせた白のような……聖白。
そんな言葉なんてもちろん存在しないのだけれど、思わずそんな造語を作り出したく
なるような神聖さを兼ね備えた、
しまいには、こっちが申し訳なるほどの白がとにかく現れたのだ。
その聖白は、足の付け根から下腹部を覆っていた。
さらに上部にちょこんと付いたリボンがなかなか可愛らしく聖白さを強調している。
しばらく凝視して、俺はそれがパンツだとようやく気が付いた。
不思議なことに、ここまで堂々と下着を見せられてしまうと、思考が追いつかないら
しい。
同時にまったく恥じらいも無く見せられてしまうと、希少価値も霧散してしまうよう
で、エロ本に載るアイドルのお宝パンチラ写真を見て胸が高鳴るような気持ちは少し
も沸いてこなかった。
男の願望の塊も、ユキにとってはただの下腹部を覆う白い物体でしかないらしい。
「で、パンツがどうかしたの?」
「覆われてる感じがとても不快」
何ともノーパン少女らしい発言に、やれやれとため息が出そうになる。
「とは言ってもなぁ」
さすがに町をノーパンで歩かせるわけにはいかない。
ユキ一人ならばまだいい。
でも、今回の映画は俺も一緒なのだ。
薄情な話だが、ノーパンの痴女と並んで歩くのは少々キツイ。
「もう脱ぐわ」
俺の返事を待つこともなく、ワンピースをたくしあげたまま、ユキはパンツに手をか
けた。
「待った!」
「何よ」
「いいから履いとけ」
「何でよ」
何で?
たしかにどうしてパンツって履かなきゃいけないんだろう。
清潔を保つため?
いや、ワンピースに関してだけ言えば、その必要性は無い。
大切な部分を守るため?
布一枚にそんな大それた力があるとは、到底思えない。
ファション性?
そもそも本来見せるためのものでもない。
そう考えると、パンツの必要性はないんじゃないか。
ただ、羞恥心を薄めるためのものでしかないんじゃないか。
つまり、ユキのように羞恥心皆無な女の子に、必要性はない。
というか、そもそもパンツの存在自体、無駄な気がする。
羞恥心なんてくだらないものをカバーするためだけに存在するだなんて、馬鹿げて
る。そうだ、馬鹿げてる。
って、待て待て。
慌てて、いいぞ、ノーパンでいけ、という言葉を呑み込む。


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