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夜に芽吹く向日葵
【大人 恋愛小説】

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夜に芽吹く向日葵-1

夜に芽吹く向日葵 凛子

ひとりで過ごすのは慣れている。

彼には、休日一緒に過ごす人がいるのだから。

彼は結婚しているわけではない。

だから、別に私と休日過ごせない訳じゃない。


でも…




私を選んだことなど一度もない。

当然と言えば当然だ。




物語や昼のドラマじゃないけれど…
彼は幸せな人間で、私はそうではない人間だからだ。

金も学歴も持っていて…
そんな彼は、一緒に過ごす相手さえも自分に合った女を選ぶ。

最初から何も期待はしていない。

(彼にとって…私は?)

その答えは、出ないのだから。


今時めずらしい和室2部屋の古めのアパートに私は住んでいる。
1階なので小さな庭までついている。


私はそこに、ヒマワリの種を蒔く。


大家さんは初老の男性で、私がヒマワリを育てることに好意的だ。



ヒマワリが好きだ。
分かりやすい花だから。



それなのに、彼はヒマワリが嫌いだと言う。
花のくせに、花が大きく茎も太いのが気持ち悪いのだと。

育ちから持っている物から…好きな花まで違う彼。



それでも、彼は真夜中、ここへ来る。

静かに訪れ、私と交わり…最後にまた静かに去るのだ。


彼は、私に優しくすることはない。

うわべだけ優しくされるよりは、まだいいのかもしれないが。


だからこそ、彼の本当の姿を知っているのは私だけなのだ。

一緒に過ごすべき役割の女は、こんな淡々としている彼を見たことがないだろう。


弱者に手を差し伸べ、優しい笑顔…医師の顔。

私は、そんな彼の前で…最初から今までずっと弱者でいるような気がする。


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