夜に芽吹く向日葵-6
「どうしたんだ?」
「クリニックに来た患者を搬送してきたの」
「そうか…」
彼はその会話の内容はどうでもよかったらしく、私のナース姿をまじまじと見ている。
「お前もそうやって見ると、ナースなんだな」
「当たり前でしょ」
「これから、飯でも食わないか?」
この男の昼間の顔を見るのは久しぶりだ。
私は勤め先に戻りは午後になると電話し、病院内の食堂へ行った。
そこには、この病院の看護師たちもいて、中にはこちらに視線を送る者たちもいる。
「見られてるけど、いいの?」
「ああ、別に。あれ、うちの病棟のナースだから」
正直驚いた。
私はこの男が私といるところを誰にも見られたくないのだろうと思っていたから。
だからこそ、真夜中にしか私に逢いにこないのだと。
「お前、昼間でもそんな愛想がないのか?」
黙って食事をする私に、男は言う。
「1人っきりなのに、笑ってたら気持ち悪いでしょ」
「じゃあ、夜も1人きりだから…なのか?」
「?意味が分からないわ」
「1人であの部屋にいるから、愛想がないのか」
「別に…そうしてるつもりはないわよ」
「いつも2人だったら、お前は笑うのか?」
私には、この男の言いたいことが良く分からなかった。