夜に芽吹く向日葵-17
「彼女は、どうするのよ」
「別れた」
「いつよ」
「お前を知って良かったと思った日…」
私は、前を見た。
大きな海。
「私、貴方の子ども、産むってこと?」
「育てたくなければ、俺が育てる」
「貴方じゃ無理よ」
「小児科医も向いてると思うぞ、俺」
「関係ないわよ」
海って、大人になっても…こんなにも大きく感じるものなんだ。
歳をとり、自分は大きくなったつもりだったのに。
「育てることは出来ても、俺は子ども産めないからな」
「当たり前でしょ、男だもの」
「だからさ、産んでくれよ」
「産めば、私は用済み?」
「お前の子どもだから、欲しいんだよ」
私は少し可笑しくなった。
「それって、普通、女の台詞でしょ?」
「なあ…これからはさ、昼間逢わないか?」
私は空を見上げる。昼の空は、明るいものだ。
海はキラキラしている。
男の顔を見る。
意外と、お人よしの顔だったのだな…
私は、「夜」にかまけて…何も見れていなかったのかもしれない。