夜に芽吹く向日葵-15
「貴方は彼女とさっさと子どもでも作れば?」
男は私の言葉を無視して、話し続ける。
「水着まで買って…そんなに海に行きたかったのか?」
「同僚にのせられただけよ」
「そうか…じゃあ、海見ても嬉しくないか」
男は、私を喜ばせようとここまで連れてきたのか…?
見当違いもいいところだ。
でも、この男なりに気を使ったのかもしれない。
それがどんな意図かは分からないが。
「なあ…最近変わったことないか?」
またおかしな事を聞いてくる。
「この間も、同じ質問したじゃない」
「本当にないか?」
「しつこいわね、珍しい…」
「俺に話すこと、何もないのか?」
「いつも、たいして会話なんてしないじゃない」
「そういう意味じゃない」
男と、これだけ言葉のやりとりをするのは珍しかった。
それだけ、今日の男は、私にこだわっている。
「…引っ越したんだ」
「そう…」
「一緒に住まないか?」
私は、何か聞き間違いをしたのだろうか?
今、男はとんでもない事を言っている。