夜に芽吹く向日葵-14
「なあ…」
ある夜、男が言った。
しかし、男は言葉をつまらせる。
「…なに?」
「お前、最近変わったことないか?」
「別に無い。仕事も普通」
「そうか…」
本当にわずかだが、男はあの話をして以来…私にアクティブな会話をする。
前は、興味など全く示さなかったのに。
「日曜…海に行ってみないか?」
・・・・・・・・・・
男は本当に私を海に連れてきた。
私は、こんな高価な車には興味がない。
助手席に乗っているだけで、気を使い疲れてしまった。
「海って広いな…」
「当たり前じゃない。昔から歌にあるでしょ」
「子どもの頃歌ったよな」
「そうね…」
「あれって、昔からある歌なのか?」
「知らない、でも親も子どもの頃…歌ってもらってたのかもしれないわね」
「俺たちも、子どもに歌ってやるようになるのかもな」
私は、子どもという言葉に一瞬緊張したが…
その反応を男に気付かれまいと冷静を装った。
私のお腹には…今まだ、男の子どもがいるのだ。