夜に芽吹く向日葵-10
私以外の夜勤二人がその作業を行ったはずだったが…
何故かそこには私の印鑑が押されていた。
幸い、違うアラームが鳴った際に気付き…大事には至らなかった。
がしかし、私はそれ以来…
人が恐ろしくなってしまった。
酒でごまかし、安定剤も飲んだが症状は良くならず…
上には「軽度の欝だが、業務継続は無理だろう」と判断され退職した。
上司は、私の訴えなど全く聞き入れなかったのだ。
退職後は生活が荒れ、結果、病院に搬送されることになってしまった。
その後は…まだ軽度だったことと、薬物治療をきちんと守ったことで軽快は早かった。
今では、クリニック程度の仕事ならこなせるようになっていた。
男は黙って聞いていた。
「ドクターからすれば、ただの軽度の欝症状でしょ」
「まあな、その程度の症状なら珍しくない」
「でしょうね」
「でも…知ってよかった」
そして再び、男は私と交わりたいとの意思を口にした。
そんな暗い話をした後でも、私は発情できる…
我ながら自分に呆れたが、それだけ心が健康になったということだろう。
今まで避妊はしなかったが、男はそれなりに気を使った果て方をしていた。
しかし…
その夜初めて、男は私の中で果てた。
・・・・・・・・