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秋と春か夏か冬
【学園物 恋愛小説】

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秋と春か夏か冬〜16話『みんなでお泊まり温泉旅行・前編』〜-1

明日から3連休…。

つまりアレです。前回の話の詐偽まがいな優勝でもらった…2泊3日の……温泉旅行なのです…。


――1日目・朝――

ブロロロロ…

ガタンガタン

(ん…。なん…だ?ベッドの中なのに電車の中みたいに揺れるぞ…?)

恭介はベッドから聞こえてくるはずのない音と振動で目が覚める。

「あっ、恭介が起きた♪おはよう♪」

寝ぼけ眼の視界には見慣れた天井ではなく、なぜか女の子の顔……。夏輝…?なぜ夏輝がいるんだ?

「恭介くん、おはよう♪」

「寝過ぎだぞ!夏輝ちゃんの膝枕がそんなに気持よかったのか?くぅ…うらやましい〜(泣)」

香織…拓也……膝枕??

確かに俺は横になっていて正面には香織と拓也……。それに頭にはベッドの柔らかさとはまた別の気持ちよい人肌の感触が……って…。

「うゎぁ〜〜!」

なぜか俺は夏輝に膝枕されて寝ていた。
飛び上がろうとする俺……だが、動けない!どういうことだ?

自分の体をよくみると寝袋のようなものに詰められ、さらには縄でぐるぐる巻きにされていた…。これでは身動きのとりようがない。

「もぉ恭介…暴れちゃダメだよー」

夏輝がため息をつきながら言う。ため息をつきたいのはこっちの方である。

「ふ、ふざけるなー!なぜいきなりこんな状態で?百歩譲って俺は良いが…読者が置いてけぼりだぞ!!」

「またわけわからないこと言うー。」

「説明しろ!」

「わめくな恭介。私が説明してやる。」

夏輝と言い争っている(俺が一方的に怒鳴っていただけだが)と、突然出てくる杏子。俺はなんとか首だけ動かして杏子の方を見た。

「この前の賞品である温泉旅行だ。でも昼から行ったんじゃ到着は夜になってしまいもったいない。だから朝から行くことにしたんだ。それに低血圧のお前を起こすのがめんどうだったんでな、寝袋に入れて担いできた。わかったか?」

わかるかっ!そもそも俺を起こした方が明らかに早いだろ!

「まぁ第一の目的は……おまえの慌てふためく面白い姿を見たかったんだ」

「……は?」

俺はただただ茫然とする。まぁ杏子ならやりかねん、と後になって納得するのだが…。

「そぉそぉ。鳩が豆鉄砲食らったような、そんな顔も見たかった。うむ…満足だ♪酒の良い肴になった」

気分よく席に戻っていく杏子…。

「…とりあえず寝袋と縄を解いてくれ…」

あきれて怒る気力の萎えた俺はため息をつくしかなかった。


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