投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

『傾城のごとく』
【その他 その他小説】

『傾城のごとく』の最初へ 『傾城のごとく』 40 『傾城のごとく』 42 『傾城のごとく』の最後へ

傾城のごとくU終編-2

チコを抱いて自室を出て、台所で餌入れに茹でたエビを入れてあげる。相変わらず甲殻類に目がない。
脇目も振らずに食べている。

私はその間にお風呂場に行って、チコを洗う準備をした。
お風呂場から戻ると、チコはエビに満足して居間で顔を洗ってた。

そろそろ〈昼寝〉の準備だ。

寝ているのを無理に起こして洗うのは少し可哀想だ。自室へと駆け上がり、急いでチコを洗うための服に着替える。

「3月になんて格好してるの!」

クタクタのTシャツに短パン。確かに夏の装いだ。だが、暴れるチコを洗うにはコレが一番。

「チ〜〜コちゃ〜ん!」

まだ顔を洗ってるチコを〈ワシッ〉と捕まえ、お風呂場へと向かう。
ここからは心を鬼にして。

脱衣所のドアを閉める。もし、お風呂場から逃げても、ココが閉まっていれば連れ戻せる。
風呂場の扉を開ける。チコはひっきりなしに〈ジャーッ!ジャーッ!〉と鳴いている。何をされるか分っているのだ。

扉を潜ろうとすると、チコが前足を使って扉を掴んだ。私はその姿で笑いそうになる。目を大きく見開いて、人が両手で掴むように一杯に前足を伸ばしている。このコも必死なんだ。



*****

身体の毛をドライヤーで乾かし終えた。油っ気がなくなって、毛がゴワついている。チコは気に入らないらしく、ずっと身体を舐めている。
私は安堵して風呂場を洗いに行った。




「千秋〜、ご飯よ」

自室でのんびりしていた私を母が呼んでいる。私は階段を降りて台所へと向かった。

「アンタまだその格好なの!風邪ひくわよ」

そう。母が言う様に私はチコを洗ったままの格好で過ごしていたのだ。

「さすがにちょっと寒いかな。ご飯食べたらすぐお風呂に入るよ」

私は手を合わせて〈いただきます〉と言って、テーブルに並んだオカズを食べ始める。

ちょうどそこに姉が現れた。

「アレッ?アンタなんて格好してんの。いくら昼間が暖たかかったからって」

姉の小春は、1日中、家にいなかったから私の格好を不思議がる。


『傾城のごとく』の最初へ 『傾城のごとく』 40 『傾城のごとく』 42 『傾城のごとく』の最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前