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光の風
【ファンタジー 恋愛小説】

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光の風 〈風神篇〉前編-6

「向こうからのコンタクトを待とう。」

カルサの思いはサルスにも伝わっていた。サルスが頷いたのを確認すると彼らは次の対策を打って出る。

「今から城に結界を張る。なんとしても城内への侵入を阻止するぞ!」

「はい。では直ちに軍隊を城周りに派遣します!」

二人が各々の持ち場へ移動しようとした瞬間、一人の大臣の声が足を止めさせた。

「陛下、その前に一つ。」

「何だ?」

答えたのはもちろんカルサだった。

「地下道を渡って城に避難する者がおります。」

以前の嵐の襲撃の際に、集落から城へのライフラインが大きな課題となった。そこで作られたのが城と各集落を結ぶ地下道、魔物の襲撃を受け城に避難しようとする民達が続々とそれを使ってきているのだった。

「確かに…城への避難が確実だが、今回の標的はここだ。決して安全とは言えないぞ、どうするカルサ?」

「仕方ない、受け入れて広間へ案内しよう。聖を呼んで結界を張らせる。」

大臣は頷き、近くの兵士に聖を見つけて命を話すように指示した。

カルサ達はその場を離れ役割を果たすために移動する。カルサが向かった先は城壁の上、展望台だった。

辺りを見回す、黒い影が迫ってきているのが分かった。次第にカルサの表情が厳しくなる。

「陛下、あれは一体?」

見たことも感じたこともない雰囲気に見張りの兵士も不安になっていた。

「あれは魔物だ。」

カルサは問いに簡潔に答え、まるで拝むように胸の前で手を合わせる。やがてカルサの体は淡い光を放ち、いつしかその光は城を囲うように城壁沿いに行き渡った。今まで冷静な顔つきだったカルサに一瞬だけ力が入る、その瞬間に城上空まで半透明の光に包まれた。

「結界を張った。これである程度侵入は防げるはずだが、そんなには甘くない。油断するな。」

「はい。」

初めて目の当たりにするカルサの力に兵士は圧倒されていた。やっぱり雷神なのだと改めて認識させられる。

再び見張り台から眺め、カルサは後を任せると言葉を残し去っていった。向かう場所は1つではない、次の対策をまた打たなければならなかった。

その頃、貴未はサルスと共に次々避難してくる民達を誘導していた。長く決して広くない地下道を歩ききった人々は疲れ果て広場に着くなり倒れる様子が見られた。それを懸命に介抱する女官も人数が多い。

「サルス!聖が着いたぞ!」

貴未の声にサルスは反応し、すぐに貴未と聖の元へ駆け寄った。


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