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社外情事?〜気晴らしの酒と思わぬ睦事〜
【その他 官能小説】

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社外情事?5〜難航のプレゼントとこめられたコトノハ〜-5

――そしてしばらく経ち。

「…う〜ん…」

誠司の横で湊が、とある装飾店で唸っていた。
彼女の視線の先には、ショーウインドウの中に飾られた、ネックレス。
決してきらびやかではなく。しかし安っぽくはない。強いて言うならば、それは上品。
飾りのほとんどない、非常に質素なチェーン。
繋がれているのは、少し小さめにカットされたサファイア。
そして、それを引き立てるようなデザイン。
「…う〜ん…」
彼女は、ある事を思い出そうとしていたのだ。

様々な店を回った誠司と湊ではあったが、二人は困った事に、なかなかプレゼントを決める事ができなかった。
当然と言えば当然である。何せ選んでいるのは、まだ相手の事をあまり知らないと思っている男と、「聞く限りの範囲で似た嗜好」の知り合いを持っているだけの女。贈られた当人が喜ぶようなプレゼントなど、そうそう出てくるはずがない。
結果、二人は行き詰まってしまい、それを打開するために湊は誠司に、贈る相手についてもう少し話を聞く事にした。
その中で――



「…女性…ですか?」
「…はい」
情報の提供、およびそこから続くであろう知恵の絞り合いのために入ったファーストフード店で、誠司は頷いた。
「…知り合ったのが、つい1ヶ月前で。でも結構お世話になってますから、何かプレゼントでもしておきたいな、って考えたんです」
そこから続く彼の独白を聞きながら、湊はフライドポテトを一本。
「でも、何ていうか…つかみ所がわからない人で……どうも、自分が作ってきた型に全然はまらなくて、なかなか理解しきれないんです…」
言ってから、誠司はコーヒーを一口。すると、それと入れ替わるように、湊が口を開く。
「…なるほど…」
彼女は、いかにも考えているような顔で、言葉を選んでいるのか少し間を空けてから、言葉を口に出した。

「……でしたら……敢えて、光り物を贈りませんか?」

「…?」
誠司は首を傾げ、眉間に皺を寄せる。
それを湊は、意図がわからない、という意味にとったようだ。また少し間を置いて、言葉を続ける。
「女性は必ず、心のどこかに『自分を美しく見せたい』っていう願望を持ってると、思うんです。意識的にしろ無意識にしろ。…でも『光り物が嫌い』っていう人は、多分…派手な飾りで自分を彩りたくないんですよ。だから、アクセサリーは最低限。服とかと合わせて、アクセント程度にしているはずです」
「…えぇと……つまり、どういう事ですか?」
「…光り物が嫌いとは言っても、アクセサリーはちゃんと身に着ける、という事です。覚えは、ありませんか?」
その問いかけに、誠司は腕を組んでしばし考え込む。そして、しばらくの後、何か思い出したかのように顔を上げる。
「…あります。光り物は嫌いとは言っていましたが、時々ブローチやネックレスは着けてました。…かなり質素な物ですが」
「それだけわかれば充分です」
湊はにっこりと微笑んだ。
「後は、その人の好みに合わせて、あまり高くなくて質素なアクセサリーを、見てみましょう?」
そして、またポテトを一本。
だが、自信を持った態度の湊に反して、誠司は不安そうだ。


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