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「保健室の小さな秘密」
【教師 官能小説】

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保健室の小さな魔法-5

「…っ悠!」

眉間にシワを寄せていた悠の表情が一瞬和らぐ。
この瞬間の悠の表情がたまらなく好きだ。
お互いの絶頂が近い。
何度も体を重ねていれば感覚でわかる。

彼の唇に口づけて、舌を絡ませあう。
もうこのまま。
時が止まってしまえばいい――。

「―――あああ…っ」
太ももが軽く痙攣を起こしたようにガクガクと震える。
強く抱きしめあいながら同時に果てた。



「そろそろ帰んなきゃな…」
悠が壁にかけてある時計を見ながら呟く。私はまだ悠の腕の中。
そういえば、悠の家族が合格祝いをしてくれるんだと言っていた。
「そうだった、早くお家帰らなきゃ」
私の言葉に、抱きしめる腕に力が入る。
「離れたくないなー、と思って」
悠の言葉に少し笑って、心地よい束縛に身を任せる。
そしてふと疑問に思ったことを口にした。
「ねぇ、悠が大学に合格したのを知ってるのは他に誰?」
「え?家族と奏子以外には、まだ」
悠が少し驚いて答える。
私は一瞬言おうかどうしようか躊躇して、
「…でも、さっき廊下で女の子達と話してたじゃない」
「あー見てたんだ」
「たまたま、通りかかったから。見えただけよ」
私は慌てて弁解する。
「あれは何てことない話だよ、大学は推薦かとかそんな感じ」
思わずホッとため息をつく。
「そう…なんだ」
「うん、郵便で合格通知来たから、家族が一番に知ってその次に奏子」
「あ、ありがとう…」
優しい顔で言うから、自分のヤキモチがなんだか恥ずかしくなってきて、火照る顔を手で隠す。
「もしかして…妬いた?」
いたずらっ子のような顔で覗き込んで来た。
「…少し」
本当は少しどころじゃないけど。
「ほ、本当に?」
悠の顔が赤くなる。
「私だってヤキモチくらい妬くわよ」
「すげー嬉しいんだけど!奏子ってたまにオレのことどう思ってるのか不安になるから」
「あまり言葉にしないけど、…好きよ、悠」
一瞬目が大きく開かれて、そして照れたように笑った。

私にはすぐ好き好き囁くくせに、言われるとこの照れよう。
一見大人っぽく見える悠のこんなかわいらしい一面を知ってるのは私だけにしたい。
同年代の子の方が似合うかもと思ったけど、やっぱり前言撤回。

私は…悠の隣にいたい。

淡々としてた自分の感情に灯がともる。 今まで感じたことのない独占欲。
でもこれも悪くはないと思える自分がいるから不思議。

「私ね…悠と会って色んな感情や、今まで知らなかった自分に気づく事が多くなったみたい」
悠の茶色の瞳を覗き込む。
「今まではそういう感情をあまり持たなかったと言うか…面倒って思ってた」

恋愛面において、消極的だった自分。
受け身だった自分。
感情すら表に出すのを躊躇っていた自分。
それは相手の反応を見ずに逃げる行為だったと今更ながらに気づいた。


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