第3会議室…3-1
営業部部長の橋本歩(はしもとあゆむ)に秘書課の星野優花(ほしのゆうか)が犯されたのは二度目だった。
星野は第3会議室のいすに座ったまま、服も直さずぼうっとしていた。
はだけたシャツ。
めくれたスカート。
おろされた下着とストッキング。
…どれくらい時間、たったんだろう。
星野はため息をついて服を直そうと立ち上がる。
−−そのときだった。
「まだ、誰かいるの?」
ガチャリ、とドアが開く。
「きゃっ…」
思わず星野は声を上げた。
星野の目線の先にいたのは…同じく秘書課の松本梨絵(まつもとりえ)だった。
「星野…?何でそんな格好…」
「な、何でもないですっ」
星野はそう言うと、松本に背中を向ける。
星野の耳には、松本のパンプスの音が近づいてくるのが聞こえていた。
「誰にされたの…?」
松本は、後ろから星野をそっと抱きしめる。
星野は、松本とあまり話をしたことがなかった。
年上で、有能で、美人で、憧れの存在。
しかも普段、営業部で仕事をしている星野に松本との接点はほとんどない。
「な、何もないです…本当です…」
「詳しいことを言いたくないなら、言わなくていい。
だけど…誰にも言わないから、大丈夫よ。信頼してくれていいから」
星野の肩が震える。
「ほら、早く服を着た方がいいわ。
もう帰らないとだめよ?仕事終わったんでしょう?」
「はい…」
「送ってくよ?家、どこ?」
そんなやり取りがあって、今は会社の駐車場にある、松本さんの車の中に松本さんと2人。
松本さんはもう何も聞いてこない。
…いい人だ。
「松本さん、すみません…」
「謝らなくていいわ、あなたはあたしの後輩なんだから当然のことよ。
…あたしの家、泊まってもいいけど…どうする?」
「え、そんなの迷惑になりますし…」
そう言うあたしを見て、松本さんは笑う。
…その笑顔になぜかドキッとするあたし。