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イヴの奇跡
【その他 官能小説】

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イヴの奇跡U-1

─ブーッブー!


『んぅ…』
ゴロンと寝返り。
緩いウェーブがフワフワと動く。

─ブーブーブーッ


『ん。んぅー…』
しかめっ面をするイヴ。
そんなのはお構い無しに玄関ブザーはけたたましく鳴り響く。


『…〜っもぉ!うるさいなぁ!』
上半身をガバっ、と起こす彼女の名前はイヴ。元は猫だ。
イヴの夜に神崎圭(カンザキケイ)という男に拾われ…

0:00ジャスト。
理由はわからないが猫から人間の姿に変わってしまった。

摩訶不思議奇想天外。
化け学も何も在りはしない。
それでも神崎はイヴに今まで付き合った女との《違い》を感じ、二人は一緒に暮らしている。


『圭〜?誰か来てるよー?』
ゆさゆさと神崎を揺するものの神崎は顔色一つ変えずに安らかに眠っている。


─ブーッブーッブーッ!

その間にもブザーは室内に鳴り響く。


『仕方ないなぁ〜…っ!!』
渋々、耳を押さえてイヴは音が鳴る根源の玄関へと移動する。

『人間を呼ぶ道具はうるさ〜い!!もー!今開けるからっ!』
イヴは元が猫だということもあってか耳が良い。
人間に聞こえる音の何倍か大きな音で自分の耳に届くのだ。


─ガチャッ!!


勢いよく扉が開くと煩い音はピタリと止んだ。



『あ………。』
扉を開くと緑色っぽい服を着た男一人と目が合う。
が、男は真っ赤になり俯く。

『…?』
疑問符を浮かべて首を傾けるイヴ。

『あ、あの、宅配ですが、サインか印鑑を頂け…ますか?』
俯いたまま大きな段ボール三つとペラペラした紙を差し出す郵便配達の男。

『サイン…か、印鑑…?』
ちょっと困った顔をするイヴ。
クリスマスから何ヶ月か経ちイヴは人間の言葉、人間社会のルールを神崎や家庭教師から教わり、驚異的なスピードで物事を覚えた。


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