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イヴの奇跡
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イヴの奇跡U-2

……が、
まだ何かを書くことはできない。平仮名の『ひ』でさえ書けないのだ。

印鑑なら…
圭の机のうえだったかなぁ?


『あ、ちょっと待ってて下さ……きゃッ!!』
踵を返して振り向くと、ぼふっ。と暖かいものに顔ごとぶつかるイヴ。

ふと、見上げるとそこには神崎。

『あ!圭っ!あの…!』
事情を説明しようとしたが神崎はイヴに毛布をフワリとかけて郵便配達の人となにやら話し出してしまった。


─あ…。
ふと、かけられた毛布の隙間から自らの姿を覗くと、ピンクのフワフワキャミソールに同じ色の下着だけを身につけた自分が映る。


圭…怒ったかなぁ…。

しゅん、と小さくなり背中を向けたまま立ち尽くすイヴ。


『失礼しましたぁー!』
背後で郵便配達員の声が響き玄関の扉がバタンと閉まった。


怒ってる…
きっと怒ってっ!

ぎゅっ。と目をつぶるイヴにポンと暖かくて大きな手が頭に乗っけられる。


『怒ってるわけじゃないから、そんな強張るなよ。』
見上げると優しい眼差し。
困ったように笑うこの男の仕草一つ一つに高鳴る胸。

『本当…?』
目だけを上げて神崎を見つめるイヴ。
『本当にだ。でも、次は気をつけろよ…?』

『はぁい。』
にっこり笑うイヴ。
整った顔立ちにアーモンド形の大きく潤んだ瞳が細く笑う。

『あれっ?そういえば…あの箱は何?』
イヴが指さす方向には送られてきた三つの段ボール。
しまった、と神崎。
うまくかわしたつもりだったが……。

『ん?…ん〜…プレゼント…贈り物だ。』

『空けていい?♪』
と、興味深々のイヴ。

『……あぁ。好きにしろ。だが!頼むから、見ても拗ねるなよ?』

拗ねる?
私が?なんでっ?

疑問に思いながらもイヴは段ボールに近づき、箱を閉じているガムテープをビリビリを剥がして箱を開けた。

その様子を苦いものを噛んだような顔で見守る神崎。
ふと、壁に掛かるカレンダーを見てやっぱりかとため息。
毎年、この時期は送られてくるものなのだ。


『わぁ〜!!何これ〜?!凄いよ?圭ー!』
きゃっきゃとはしゃぐイヴ。
箱の中身はチョコやらマフラーやら時計やら何やらが出てくる出てくる。



はぁー……。
神崎の大きなため息から始まった今日。


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