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イヴの奇跡
【その他 官能小説】

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イヴの奇跡U-9

『ちょ…!!』

突然のことに対応出来ずに女は抵抗することもなく神崎の家を追い出された。
そして、女が何か言おうとする前に扉を勢いよく閉めてドアにチェーンロックを神崎はつけた。


…不覚だった。
不意打ちだと弁解はしない。
逃れることは出来た。
それでも逃れられなかったのは、過去への後悔や自分の甘さが原因だ…。

それを神崎は自覚していた。

幸せはこうやって
すぐに壊れちゃう…
容姿は変わっても
私はやっぱり、
ただのペットなのかな…

人間は窮屈なプラスチックケースに私達を入れて見世物にして、誰かにお金という紙切れで取引するの。
でも大きくなって手に余ったり都合が悪くなると、まるで玩具のように捨ててしまう…。


私達だって、
“心”は在るのに…。

圭に会って、圭と過ごして悲しみから喜びに変わった毎日がなんだか意味のないものに思えてくる。



『イヴ!』
寝室の扉が勢いよく開く。
神崎はリビングに各部屋のスペアキーを置いていたのだ。

『聞いて…欲しい』
布団の中で丸くなるイヴにそっと布越しに手を添えた。

『あいつは…前に付き合ってた彼女なんだ…俺がイヴ、お前に出会う前に唯一本気で好きになった女なんだ…』
声をかけるが反応はしない。
それに構うことなく神崎は話を進めた。

『名前は香坂 真菜(こうさかまな)。俺と同い年だ。大学から去年、お前と出会う何ヶ月か前まで交際していた…』
神崎がベッドの端に腰掛ける。
ギシリとベッドのスプリングが軋んだ音が寝室に響く。

『この家で同棲もしていた…が、続かなかった。俺達は仕事の忙しさで互いに二人の時間を造ることが面倒になったんだ…。』
ひとしきり言うと神崎は深呼吸する。


沈黙が続く…


『そして彼女は俺の部下を辞めて違う会社に移ったんだ。』


先に沈黙を破ったのは神崎だった。


『俺の会社はそこそこ有名な会社でな…世に言うエリートが集まっているんだ…。』

『えりー…と?』
寝室に入って初めてイヴが口を開いた。毛布からちょこんと顔だけを覗かせている。


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