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イヴの奇跡
【その他 官能小説】

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イヴの奇跡U-10

『お前達で例えるならば血統書付き…だろうな。』
そう言いながらイヴの涙で濡れた頬を撫でる神崎。

『最初は…違う会社に行ってしまってもアイツを信じてたんだ。でも、互いに会う時間を作らなくなった…。最後にアイツは俺と交際を続けながら同じ会社の同僚とも付き合いを始めていたんだよ…』
深いブルーは悲しみを現す。

神崎は、
交際中に気付いてしまったのだ。
彼女が自分を世間体や優越感だけで関係を続けていることに。
自分は“社長”。
ブランドと同じで着けて歩くならばいい飾りだ。
が、そこに愛情がなければどちらかが愛想を尽かすのだ。


深い
ふかい
悲しみと傷…。

不器用だけど本当は真っ直ぐな圭が愛してるって言った。
圭が言ったんだから、種族とか、容姿とか、そんなのは関係ないよね。

また捨てられることへの恐怖は私だけじゃないから…。




今ある大切を信じなくちゃ…。



イヴはそっと神崎の頬を撫でる。
こうして触れて貰うのは久々で神崎は戸惑いの表情を浮かべる。

『圭…ヘーキなフリはしなくていいよ…。私、いるからね。ここに、ご主人様の側にいる。』
自分がされるように、
イヴは神崎の髪を撫でる。

『すまないな…俺の未練がお前に辛い思いをさせてしまったんだな…。』


神崎は決して涙は流さない。
今までもそうだ…
泣きたくても、
責任感や立場が邪魔をする。
地位が神崎の感情を鈍らせる。
そして、いつしか当たり前になってしまった。


『少しだけでいい…』
短くそう言うと神崎はイヴの胸に顔を埋めてピタリと動かなくなった。

『圭が…望むなら…。』
イヴもそう返して、ゆっくりと髪を撫でる。
『そう言えば…』
暫くイヴの胸に顔を埋めていた神崎がボソリと言葉を口にした。

『う?』
イヴは神崎の顔を覗き込む。

『お前からバレンタインのプレゼントを貰ってないが…』
少しニヤニヤしながら神崎が言った。
猫のイヴでも、これからのことはなんとなく予想がつく。

『今日じゃなきゃ駄目〜?明日、魅音里ちゃんに教えて貰うから…それに、圭は沢山貰ったじゃんっ!』
予想がついたイヴはなんとかならないものかと頭を捻る。

が、

『今日じゃなきゃ意味が無いからな、それに数じゃない。欲しい人から貰えないとダメなんだ…。』
と神崎。
ぐいっとベッドに仰向けにされていつしか胸に手が伸びている…。


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