秋と春か夏か冬 13話〜『痴漢男』〜-5
――月曜の朝
今日は理緒も鈴も委員会の仕事で朝が早い。
そのため、1人で電車にのっている恭介。座れはしないが混雑と言うほどではない車内。
すると…
(ん?…あれは昨日の……亜季だ)
昨日出会った亜季が乗ってきた。
おれは話しかける。
「よぉ、おはよう。学校行くときは電車なんだな…てっきり車で送り迎えだと思ったよ」
亜季は俺を少し見ると、嫌そうな顔をしてそっぽを向く。
(俺…なんかしたか?)
「…どうしたんだ?」
なんか昨日と雰囲気が違う亜季…そしてなぜか睨まれる。
「…ナンパ?」
声も少し甲高い…昨日は落ち着いた声だったのに。
「ナンパは昨日、お前がされたんだろ?それより足は大丈夫か?」
そう言うやいなや、電車が激しく揺れる…。
「うわっ!」
バランスを崩す亜季の体を俺は支える。
「おっと、大丈夫か?」
「うぅ////…さ、触れるな!ちかーーーん!!この人、ナンパしてきて……しかも痴漢だ!!!!」
そう言って俺の手を掴み、高く上げると…亜季は叫んだ。
なんだ?痴漢?誰だ?………………………。
俺かーーーー!
いや待て!いつからこの国は知り合いに声をかけて、転ぶのを助けると犯罪になったんだ?
と、とりあえず誤解を説かないと…。
「いや、ちょっと待て亜季…なんで痴漢なんだ。おれは…」
「俺は亜季じゃなくてシュウだー!近付くな…この変態がー!!!!」
カキーーン!
「がはぁツ」
俺は亜季に…シュウ(?)に……男なら必ずある弱点を……蹴られた。
そして近くのオッサンが叫ぶ。