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「真っ直ぐ……」
【ホラー その他小説】

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「真っ直ぐ……」-1

どうも。ホラー書くのは随分と久しぶりなかなめです。
今回のお話は、先輩の友達の兄貴が実際に体験したという、非常に胡散臭い体験談を、僕なりに脚色したお話です。比率的に言うと、
本当……八割、
脚色……二割、
といった具合に構成されています。
では、始まります……。


車の免許を取った。それは大したことじゃない。俺プランの内、まだ三分の一が終わったぐらいだ。俺は車を自由自在に乗りこなし、いつかはフェラーリにでも乗って女の子をナンパしたいのだ。それこそが俺プラン。
今日はかなりの距離を乗り回した。ガソリンもかなり消費したらしく、Eの少し手前までメーターが行っていた。
「さて、帰るか」
誰にともなく呟き、俺は周囲を見回す。真っ暗だ。我ながら、かなり運転に熱中していたことが窺える。
もう一度、周囲を見回す。
「えっと……ここは、確か……」
なんだか山道みたいなところだ。こんなところを走っていたっけ?そんな疑問がよぎったが、特に問題にはならないので、無視をする。
記憶の中を探ってみたが、やはりここがどこだか分からない。ここは一体どこなのだろうか。
「……えーい!面倒だ。カーナビでも使うか」
だがさして困らない。何故なら、カーナビがあるから。こいつは便利だ。どこにいたって、しっかりナビしてくれる。だから適当な道を不安もなしに行けるのかもしれない。
「えーっと……」
画面に触れ、まずは「拠点」と表示されている箇所に触れた。これは予め俺の自宅が設定してある。
ぴ、ぴ、ぽん。そんな機械的な音を発した後、
『音声案内を開始します』
ナビが言った。
よし、これで帰れる。
ぽーん。
『およそ、三百メートル先、右方向です』
音声案内が入る時の音を発し、そのように語りかけてくる。
「オッケー」
何故かナビに答えてしまう。俺は相当寂しいのだろうか。
ライトが夜道を照らしている。なのに暗くて先が見えない。まあ、ナビに従えば大丈夫だろう。
『間もなく、右方向です』
それに従い、右折する。相変わらず暗い。
『しばらく直進です』
それでもナビは間違いあるまい。俺は疑いもせず、アクセルを踏んだ。
その時、ぽーん、と、一際大きく鳴った。
『真っ直ぐです』
「?」
俺は少し不思議に思った。「直進」とは言わず、「真っ直ぐ」と言った。それは何故だろう。大したことじゃないのだが、俺は気になった。
故障か?
『真っ直ぐです』
また言った。ちょっとアクセルを踏む足をどけ、ブレーキを踏んでみる。ききっ、と音を発て、車は止まった。
「……ふーむ」
しげしげとナビを眺める。けれど見た目的には故障しているようには見えない。と言うか、分からない。
気にしてもしょうがないか。そう思った時、
『真っ直ぐです』
ナビが。
こりゃ、いよいよ故障かな。帰ったら修理に出さないと。
『真っ直ぐです』
どんだけ言う気だよ。
『真っ直ぐです』
おい。
『真っ直ぐ……』
え?
急にくぐもった声になった。さながら人外のモノであるかのような声。いや、元々機械だけど。
『真っ直ぐ……』
さらにその声は言う。


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