『メイドになりきって…』-1
今は九月…十月末の文化祭にむけてはなのクラスでは出し物の企画について話し合いが行なわれていた。
「やっぱり喫茶店みたいなのが妥当だろ〜。あんまり凝ったやつは準備とか面倒だし。」
剛が投げやりな口調でそう提案した。
「でもただの喫茶店じゃつまんないよ。どうせならメイドカフェやろうよ!」
かなこがそういうとクラスはざわついた。
「メイドとか古いって!」
「古くてもいいじゃない。他のクラスとかぶらないし。」
「でもメイド服って高いんじゃない?全員分そろえられるかな…?」
委員長のはなは困り顔で言った。
「大丈夫だって!やりたい人だけやればいいんだし、メイドは10人くらいいれば十分でしょ?服なんて二か月もあればなんとかなるよ。」
かなこは超乗り気だ。
「じゃあとりあえず候補のひとつにしましょう。」
副委員長の修二が黒板に『メイドカフェ』と書いた。
「他に意見のある人はいませんか?」
はなはクラスのみんなにそう尋ねたがあまりパッとした意見はでず、はなのクラスはメイドカフェをやることに決まってしまった。
そして文化祭当日ー。
「はなー大変!メイドやる予定だった美香が風邪で熱出しちゃって来られないって!」
「えぇー?!どうしよ…誰かかわりにやってくれる人いないの?」
「お前がやれば?」
はなが振り向くとそこには修二がいた。
「やればいいじゃん。どうせお前今日裏方だろ?」
「そういえばそうじゃん!はな似合いそうだしやって?一人いなくなると大変なの!」
「そんな…あたし恥ずかしいし…」
かなこは迷っているはなを強引に更衣室へと引っ張っていった。
「じゃあこれに着替えて教室きてね。なるべく早くお願い!」
かなこはそういうと更衣室からでていった。
(恥ずかしいなぁ…いつもスカートとかはかないし…。)
悩みながらもフリルのついたエプロンやヘッドドレスを着けると、はなは別人になったような気持ちになった。
「おぉー!!」
教室に戻るとなぜか歓声が上がった。そのメイド服ははなにはちょっと小さかったのか豊かな胸が強調されて、いつものはなとは違う雰囲気が漂っていた。
「はなめっちゃ似合ってる!絶対いいよー。」
「そ、そうかな」
かなこにそう言われはなは照れ笑いをし、早速準備にとりかかった。
クラスの企画は予想以上に盛り上がった。もうそろそろ外が暗くなってきたが、はなは一人残って教室を掃除していた。
「お前まだ残ってたのかよ。もう暗いのに電気もつけてないし。」
あきれたような声にはなが顔を上げると修二が立っていた。
「うん。もうちょっとで終わるから。電気つけてると先生きて早く帰れっていわれちゃうし。」
「じゃ俺も手伝うよ。一応副委員長だしな。」
修二はそういうと掃除を手伝い始めた。
「ぷっ…お前そうしてると本物のメイドみたいだな。いい加減服着替えたら?」
一心に掃除しているはなをみて修二がからかう。
「そういえばまだ着替えしてなかった…更衣室閉まっちゃう!」
はなが慌てて駆け出そうとした時、修二がいきなりはなを後ろから抱きしめた。
「なっ何!?」
「お前めっちゃかわいー」
いつもふざけてばかりいる修二に耳元でそう囁かれ、はなは顔がかっと熱くなるのを感じた。
「ま、またふざけてるの?ちょっと離し…んんっ!?」
修二ははなのあごに指をかけて自分の方を向かせるといきなりキスをした。はなの口の中に舌が差し込まれる。