Connection-3
「この前はすまなかった」
「…何が?」
「うちの母が君に酷いことを言って」
「…何も、言い返してくれなかったね。」
「母はこの前、見ての通り酷く旧式な考え方をする人だ。頑固で自分が一番正しいと思っている。下手に反抗しても火に油を注ぐだけなんだ。」
「でも、悲しかった。あの場で私にはあなたしかいなかったのに。それにどうして私との事、黙ってたの?」
「君と同棲してるなんて言えば、それこそあの人は何をするか…。興信所を使って粗を探して別れさせようとしかねない。この歳になったら、結婚するって確定しなければ、いちいち付き合っている人なんて言わない。」
「じゃあ今まで、軽い気持ちで付き合ってたの?!」
「違う!聞いてくれ。僕はいつ結婚しても良いって思ってた。でも、君はまだ若い。君を待つつもりだった。」
「若い若いって…、若いと結婚出来ないっていうの?」
「そんなことはない。でも…、もし妊娠していなかったら、君の年齢じゃ僕の年齢ほどは決心がつきにくいだろう。先走って、君との関係を崩したくなかった。」
「……。」
何も反論できない。確かに、そうだと思うから。
でも、今はこの人と結婚したいと思ってる。二人の子どもを一緒に育てていきたい。
「早く式を挙げられれば、体にもいいだろうし、ドレスだって色々選べるだろ?」
この人はどこまで私の先を行くんだろう。
「ふ……」
私は溢れる涙が止まらなくて、ただ、隣で何度も頷いた。
大人には不条理でも受け流さなくてはならない事が多々ある。
もしも、辛い思いに値する大切なモノのが有るならば。
ぶつかって守るだけが能じゃない。それも大人の守り方だ。
*END*