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秘書の恋
【OL/お姉さん 官能小説】

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松本梨絵のとある一日。-1

…電車って嫌だなぁ。

朝の満員電車でそう心の中で呟いたのは松本梨絵(まつもとりえ)、31歳。
とある会社の秘書課に属する、超がつくほどの美人で、秘書課でも有能秘書として周りが一目置く存在である。

いつもなら松本は車で通勤するのだが、昨日は会社の近くで酒を飲んだため車を会社においてきたのだ。

満員電車に慣れないため、ため息をつきながら電車のドアに手をついて松本は立っていたのだが──

…?!

松本が驚いたのも無理はない。
誰かが、いきなり後ろから松本の体に抱きついたのだ。

「…な、何して…」

小声で、抱きつく奴に言う。
松本は痴漢にあったことがなく、初めてのことで何が何だかわからないという状況だった。

…ふつうお尻撫でるくらいなもんじゃないの?!

普段なら、いけないことはいけない、と言えるはずなのだが…
なぜだか、松本はここで声を出すことができなかった。

お腹あたりを抱きしめていたはずの手が胸に伸びてきて、耳元に男の発情したような荒い吐息が吹きかかる。

やめて…!気持ち悪い…

下を見れば、濃紺のスーツの上から胸をゆっくりと揉む男のゴツゴツした手が見えるのだ。
そして、明らかにヒップに当たるものは男の欲望の主張だった。

胸にあった右手がスーツの上を滑り、スカートに触れる。
スカートをゆっくりとめくり、太ももをなぞる男の右手。

こんなオバサンの触って何が楽しいのよっ!
もうやめてってば…!
電車…早く着いてよ!

ついに男の右手は松本のそれにストッキング越しに触れた…

もう…嫌…!!

涙が出そうになるほどの屈辱感。
見知らぬ男に体を触られている状況。
目をぎゅっと閉じて、松本はこの状況を耐えるしかなかった。

男の吐息はさらに荒くなり、欲望のままにめちゃくちゃに松本の体を撫でる。

当分こっちのドア開かないし…
もう最悪…!
真鍋とだってHしてないのに!

真鍋とは、真鍋隆(まなべたかし)という同じ秘書課の松本の最愛の人である。
仕事が忙しく、同じ秘書課の空気を吸っていても真鍋と松本はまともに話すらしていない状況だった。

…1人Hもしてないような禁欲生活送ってるのに、こんな気持ち悪い男があたしの体触るなんて最悪だわ!

…誰もそこまでプライベートなことは聞いてない、というツッコミは置いておく。

「お姉さん…いつも乗ってないよな?
危ないよ、いい女がこんな風に無防備にしてたら」

クスクスと笑いながら耳元で囁く男。
それはただ、松本にとって嫌悪でしかない。

いい女だと思うなら真正面からぶつかってきなさいよ!
モテないからこんなことしてんだろうけど…もう、知らないんだから!


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