松本梨絵のとある一日。-3
キーボードを叩く音。
男の割には、細い指先。
今日のあたしは…真鍋のそんな細かいところにまでドキドキしちゃう。
あの細い指で、体中をなぞられて、あたしの大事な部分を優しくかきまぜるとこを想像しただけで──
「松本さん、何ですか。
見られると恥ずかしいんですけど…」
「仕事終わったから、真鍋が終わるの待ってるの。
わかるでしょ、どういう意味か…」
あたしはふふっと笑って、真鍋のところに近づく。
本当、真鍋はあたしのこと好きなのね。
あたしが残業するって言ったら必ず残業するんだもん…
それはつき合う前もつき合ってからも変わらない。
そんな真鍋があたしも好きよ?
あたしはそんなことを思いながら、真鍋の横に立ってにこりと笑う。
「…わかりますけど…」
「あたし、今日痴漢されたのよ?」
「…ええ?!」
真鍋がすごい勢いで立ちあがってあたしの方を見る。
じっと見つめるその目…
好き、真鍋が。
「さ、さ…わられたんですか…」
「うん。
感じたって言ったらどうする?
真鍋があたしのこと抱いてくれないから、欲求不満でその痴漢とセックスしたって言ったらどうする?」
「い…嫌です!そんなの!」
真鍋はあたしに抱きついてきて、泣きそうになりながらそう言った。
もう、本当に可愛すぎる…
好きだから、こんな風にいじめちゃう気持ちわかって?
「そんなこと…してないわ。
あたしは真鍋としかしたくないから」
「本当ですか…」
「本当よ…」
真鍋の頭をよしよし、と撫でる。
可愛いワンちゃんみたい。
家に置いときたい…そんな男。