「史乃」-8
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どの位時間が経ったのだろうか。
(…なんだか腹が減ったな…)
ふと、寿明は時計に目をやった。時刻は午後2時を過ぎていた。
(もうそんな時刻か。ちょっと休憩するか)
執筆していると、つい時間の経過を忘れてしまう。立ち上がると軽く伸びをして自室を出ようとすると、〈バラバラバラ〉と窓を叩く音が響く。
「夕立か……!」
降り出した雨を眺めていた寿明は、思い出したように慌ててベランダへと駆け出した。洗濯物を干しているのを、すっかり忘れてた。
「まいったな…」
寿明は、引き剥がすように洗濯物を手にすると、リビングの床に積み重ねていった。
「このままではシワになってしまうな」
息を切らせて、積まれた洗濯物をしばらく見つめていたが、床にしゃがみ込むと、山になった洗濯物を畳み始めた。
服や下着、靴下などを畳み進めていくうちに、寿明はあるモノに目を奪われる。
ピンクの花柄ショーツ。
思わず手に取り眺めて、
(…ここに史乃の……)
両手で持ち、横に広げて秘部を包む部分を凝視する。
(…また…)
だが寿明は、気持ちを打ち消し元に戻すと、他の洗濯物と一緒に置いた。