「史乃」-19
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数日後。
「ごちそう様!」
史乃は気忙しく夕食を終え、使った食器を流し台に運ぶと、
「お父さん。食べ終わったら流し台に置いといて。後で私、洗うから」
「どうした?そんなに慌てて」
史乃は苦い顔を寿明に向け、
「明後日、試験があるのよ。だから勉強しないと…」
そう言うと、パタパタと自室に消えて行った。その姿を見て寿明はため息を吐くが、食事を終えると、そっと使った食器を洗うのだった。
自室で机に向かう史乃。その顔は真剣そのもの。高校生の時と違い、成績が即、就職口に繋がる訳だから、ヘタな成績は残せない。
人生初めてと言えるほど、必死になっていた。
「…あ、ふぁ…」
午前を過ぎると、さすがに睡魔に襲われる。史乃は携帯のアラーム時刻を30分後にセットして、
(…睡眠も必要だからね…)
そう思うと机に突っ伏して瞼を閉じた。すぐに寝息が漏れる。
(…うん…?)
どのくらい眠っただろうか。ふと史乃は目を覚ました。半身がスースーして、胸元に妙な感触が漂う。
(……!!)
シャツが胸元まで捲れ上がり、背後から伸びた手が乳房を鷲掴みにしていた。
(…い、いや……)
あまりの出来事から声が出ない史乃。思考が恐怖心で支配されそうになった。
その時、体臭が微かに匂った。
(…お…お父さん……)
それは、寿明の匂いだった。
史乃は乳房へ伸びた手首を掴み、
「…お、お父さん。止めて」
震える唇で、消え入りそうな声を挙げる史乃。だが、寿明は娘の耳元に顔を近づけると、
「…オマエと、早くこうなりたかった……」
耳元で囁き、乳房をこねるように揉みしだく。親指と人差し指でやさしく乳首を挟み込み、強弱をつけて刺激を与える。
「お父さん…ダメよ…止めて…」
史乃は刺激を受けて時折、身体をビクッと反応させるが、許されざる行為に罪悪感が浮かんでいた。
そんな娘に、寿明は再び耳元で囁く。
「…そんなオマエだって…私の部屋で自慰に耽ってたじゃないか?」
史乃の思考が一瞬、凍りつく。
「…何故…それを……」
「…わ、私の部屋に裸で入り込み…ソファでオナニーしていたな。更に言えば…前夜、私の部屋の前で聴いていたな?」
「…それは…うん…ふぁ…」
羞恥心と快感が入り混じる。自分が父に抱かれる様を想像して、オナニーしていたのを知られていた。