sweet chocolate-2
*2月14日 AM7:30 シュリ*
「おはよー、朱李っ」
俺の朝は、この緋色の眩しい笑顔から始まる。
この笑顔に会うために、今朝も集合時間より早く家を出る。
紅が来る前に。
緋色の笑顔を独り占めするために。
今日もふわふわと小さくてかわいい緋色。
顎の高さで切り揃えた真っ黒な髪が、白い肌を引き立てる。
ぷっくりしたピンクの唇からは、鈴を鳴らすようなかわいい声がする。
抱き締めたい、俺だけのモノにしたい。
いつも、思う。
でも……
「あ、おはよー紅!」
「…はよー」
緋色の家の向こう隣から、眠そうにやってくる紅。
ちっ、もぉ来たのかよ。来なくていいのに…
3人揃って、学校までの15分間緋色を真ん中に並んで歩く。
16年間変わらない光景。
毎日見慣れた景色。
でも、隣に緋色が居るだけで、こんなにも俺の世界は色付いて見える。
まさに緋色マジック(バカ)。
学校に着いて、いつもの様に紅と2人で1年2組まで緋色を送る。
「じゃーな」ってポンポンと頭を撫でると、柔らかい髪がくしゃってなって、緋色の表情もくしゃってなる。
マジかわいい。
俺も思わず笑みが溢れる。
これで俺は今日も一日頑張れる。
もう一度、彼女の姿を目に焼き付けようと緋色を見ると、「しっかり勉強しろよー」と紅が緋色のほっぺたをつんとつついていた。
…くそ…お前は触るな。
俺と紅のクラスは1年5組。
2組から5組へ向かうまでの間、今朝はやたらと女に囲まれた。
何? 何なワケ?
「朱李さん、チョコレート作ったんです。食べて下さい」
「あの…これ、もらってください」
次々に箱やら袋やら差し出す女たち。