秋と春か夏か冬 12話〜『サヨウナラ』〜-7
「………」
みんなポカンとしていた。
そして今まで黙っていた鈴音が俺の前に立つ。
「どうした鈴?」
ごつーーーん!
思いきり持っていた鞄で頭を叩かれた。しかも角で…。
「いっ!!!!いきなり…なに…を…」
「し…心配かけるんじゃないわよ……わたしは…てっきり……このバカァ!」
バキッ!
さらにもう一発。
「…美雪がいなくなって落ち込んでると思ったのに……またあのときの恭介になっちゃぅとばっかし………ふぇ…ふぇ〜ん………理緒く〜ん」
バキッ!ドカッ!ドガッ!
言ってる最中も鞄で殴り続ける鈴音。
言い終わると、泣きじゃくりながら理緒に抱きついた。
「…よしよし。確かに恭介の反応は驚きましたけど…やりすぎですよ」
なだめる理緒。杏子も言う。
「そうだぞ。確かに心配かけてこの反応だ…私も手を出しそうになったが仮にも病人………」
「「「…あっ…」」」
…時すでに遅し。
高熱…および空港のダッシュ…さらに鈴音の攻撃。
一撃くらった後…とっくに恭介の意識はなかった。
「きゃー!恭介が白眼むいてる」
さっきとは別の意味で騒ぐ鈴音。
誰のせいだと…
「ちょっとまずいな……理緒くん、救急車よんでくれ」
「は、はい」
こうして恭介は空港から病院へ運ばれた。
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