reality ability‐第6話‐集められた“過去(しんじつ)”‐-6
「‥‥梛さん。言うのはいいですが、憶測では意味がないです‥‥」
「微かに動揺しているわ。それが証拠よ?駄目かしら?」
梛は考える事を一旦やめた。その強気の発言に動揺を見せる未来の皇希だった。
「‥‥今ですら、彼女の気持ちにオレは迷ってます。幸せに出来るのか解らないから‥‥」
ほんの一瞬だが少し悲しげな表情になったような気がした。
「‥‥オレの事はどうでもいいです。梛さん、質問が無ければ行きますよ?‥‥」
「待って。これだけは知りたいわ。皇希君、貴方は“無限の無”をつ‥「!!」
「ぐふっ!」
突然の出来事だった。梛が喋っている途中に未来の皇希が刹動で動き、梛の首を掴みながら壁に身体ごと当てたのだった。足が少し浮いている。
梛は口から血を少し吐き出した。司義莉はその出来事に反応、いや、見る事すら出来ずに行動が出来なかった。ただ、茫然と座っていた。
和昂と真里祢は何がなんだか解らず、混乱し始めた。敵対心のない未来の皇希だったから安心していたのだろう。
「何故、知っている?“無限の無”を。‥‥動くな!司義莉!!」
「!!」
行動が遅れた司義莉だが、幻想具現化を出そうとしたようだが未来の皇希の方が何枚も上手だった。先に司義莉に向けて銃を構えていた。
未来の皇希の表情は激しい変化があった。怒りに満ち溢れていて、まるで虫けらを見るような表情で梛を見ていた。
「‥げほっ、ごほっ!‥‥はぁはぁ‥‥そ、それは凰輝が言ってい‥たからよ。貴方に会う事に‥なったら言わないようにって‥言われたけど‥知りかったわ。」
梛は苦しみながらも言った。だが、未来の皇希は解放する気は無かった。
「‥殺しはしない。だが、しばらく眠ってもらう。‥ぐっ!?」
またしても突然だった。未来の皇希は心臓を掴むように座り込む。呼吸が整わないようで息づかいが荒かった。顔色も悪くなっていく。
梛は解放されたが動かなかった。梛も呼吸や顔色が良くなかった。しかし、司義莉が一瞬で近づき、和昂と真里祢の近くへと運ぶ。
「‥はぁ‥はぁ‥何をするんだ?‥!!‥やめろ!!」
意味が解らない言葉だった。しかし、次の様子でそれが解った。未来の皇希の姿が変わっていく。女性に‥‥零歌に姿が変わっていった。
身長が今の皇希ぐらいに戻り、胸が少しづつ膨らみ、腕や脚などに女性特有の丸みを帯びていく。髪もかなり伸びて服装も変わる。喉仏もすっかり無くなった。
「‥‥‥‥」
『‥‥‥』
四人は不思議な出来事が起きて、頭が回らないようで口を開けて目の前の出来事をただ見ているだけだった。
数分後、司義莉は復活したように喋る。
「‥な、なんだと?不可能だ。我ら“神”でも性別を変える事が出来ないんだぞ!?」
和昂と真里祢は更に驚いたようだ。二人とも目を擦って再度見た。だが、結果は変わらない。これが“真実”だった。