reality ability‐第6話‐集められた“過去(しんじつ)”‐-10
「皇希君、話があります。いいですか?」
凰輝からはいつも以上の真剣さが感じられた。
「‥解った。」
「じゃあ、行きましょう。」
何故か、敬語になった凰輝だった。それに対して、皇希はタメ口になった。二人は歩いて出ていく。
「‥‥‥」
織音が後を追うように歩き始める。しかし、螺樹が止めに入る。
「織音お母様?行ったら、司義莉お祖父様が怒りになりますよ?」
織音は止まった。そして、喋る。
「‥‥なんで、司義莉お父様がでてくるの?」
螺樹はポケットからあの手紙を出した。
「手紙が来たからです。止めるようにって。」
織音は振り返り、螺樹から手紙を取る。真剣に見ていた。
「‥間違いなく、司義莉お父様の字ね。‥‥‥」
織音はため息を吐き、諦めたようで肩を落とす。螺樹は四天王たちを見ながら喋る。
「‥‥では、貴方たちには形だけでも牢屋に入ってもらいます。」
「‥いいだろう。」
四天王たちはそこにいた下級神によって連れていかれた。
「‥‥螺樹。皇希は“無神”なのよ?解っているの?」
織音が螺樹を睨みながら言った。
「不安なのですか?‥‥愛しているからこそ、信じる事が出来ないんですか?」
螺樹は先ほどからの威風堂々した態度だった。
「‥‥解ったわよ。‥‥ただ、辛いの。」
織音は悲しげな表情だった。
「‥大丈夫です。想いは届きます。」
螺樹は優しく微笑んでいる。その様子を見ていた司樹菜は織音を優しい瞳で見た。
‐集神城、皇希自室‐
皇希と凰輝が座っている。皇希はベッドに、凰輝は椅子だった。互いに向き合ってはなかった。
「何?話は。」
皇希が言った。やはり、タメ口だった。
「‥“自然神”である貴方に対する接し方です。今まで通りに皇希君と呼ぶか、“真の覚醒者”と呼ぶかです。」
当然、凰輝は敬語で言った。