campus life 2〜再会〜-4
「な……なぁ零、もしかして…」
「多分…僕も同じ事を聞こうとしてるんだけど…」
『あぁ…間違いない』
あんな跳び蹴りを出来る女の子はそういないだろう…間違いない、俺に蹴りを喰らわせた彼女だ。
そしてその隣でまだ息を切らながら座っているのがこないだぶつかってきた小さい子。
そしてもう一人、こないだはいなかったが友達だと思われる大人っぽい女性がいた。
「話しには聞いていたが…。」
「よ…予想以上の蹴りだね。」
あんなに逢うのを楽しみにしていた瞬と龍が絶句している。
正直まさかこんな形で再会するとは……。
まぁ今は授業中だし、大人しくしていればむこうに気づかれることはないだろう…
「あっいけない!」
跳び蹴りの彼女がバッグの中を探しながら声をあげた。
「ねぇ美沙…私教科書間違えて持ってきちゃった…」
「えぇ〜?!紗弥加が持ってるって言うからロッカーに行かないで教室きたのに…」
美沙と呼ばれた大人っぽい子があきれながら答える。
「どうしよう…この授業教科書ないと厳しいよね…」
あの子だ。
「ご…ごめん…。」
紗弥加と呼ばれた跳び蹴りの彼女がしゅんとして二人に謝っている。
「もう…紗弥加ったら。しょうがない、近くの人に貸してもらいましょう……あの〜すみません」
気がつくとこちらに振り返って話しかけてきた。
「いきなりでホント悪いんですけど、私達三人とも教科書忘れてきちゃったんです……なのでもしよかったら一冊貸してもらえませんか?」
俺達は全員教科書を持ってきてるし、一冊くらいいいか…
『…どうぞ』
そう言って教科書を差し出す。
「ありがとうございます!!本当に助かりました!……ほら二人もお礼くらいいいなさいよ!」
『……ッッ?!いや…そんなに気にしなくてい……』
「ありがとうございま……」
「すみません…助かり………」
慌てて制止しようとしたが間に合わず、振り返りながらお礼の言葉を言おうとした二人は俺の顔をみて驚き、言葉を止めた。
「あ……あなたは…」
「あの時の…」
『……どうも』
こうして俺達は思わぬかたちで再会した。
これが運命だったのか偶然だったのか…
そんなことはわからない…
でもこの時から、俺達は少しづつ変わっていったんだ。