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年の差
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年の差-番外編-6

「あれ?北野じゃない?」
びっくりしたように振り返った女性は、正しく、北野だった。
普段とは違い、目に力がある。
それも、そのはず。
アイラインで、目の周りを囲み、マスカラを重ね付けされた目があったからだ。
「あ…今日は。」
ぺこりと、挨拶される。
何でここにいるの?
目がそう言ってた。
分かりやすいなぁ…悠と似てるかも。
「何?ライブでも行くわけ?」
「はぁ…」
あんまり関わりたくなさそう。
学校の外では、他人って感じか?
でも、気にしない。
これは、チャンスだ。
「もしかして、高井と行く予定とか?」
なんとなく聞いてみる。
二人が仲がいいことは一目瞭然だった。
だが、それが男女としてかは、分からないが。
「友達を待ってることには変わりないです」
相手が違ったのか、ムスッとしたように、言われる。
「ふ〜ん、でも時間過ぎてんじゃん。入ろうよ」
もちろん、そんなことは気にしなかった。
「はぁ…」
呆れ口調で、了解してくれた。



北野が、チケットを二枚持っていたので、そのうちの片方を使って、入った。
ライブはとても盛り上がり、楽しかった。
北野も楽しかったらしく、晩飯を誘ったら、さっきより愛想よく、返事してくれた。





「かんぱぁ〜い」
と、俺はビール、北野は烏龍茶を飲む。
別に飲んでくれてもいいんだが、『先生とはさすがに飲めない』と苦笑され、ノンアルコール。
それから適当に、食べ物を頼む。
「先生。今日は、ライブに行ってくれてありがとうございます。」
ぺこり、と頭を下げる。
社交辞令というわけではなさそうだ。
「別に、御礼なんていらないよ。それに、北野ってどんなやつか知っておきたかったし」
だし巻きを食べながら、言う。
これは本音。
もっと知りたかった。
何が好きで、何が嫌いで、どんなタイプの人がいいか…。
「どんなって?」
不思議そうに尋ねてくる。
「なんか、北野って、周りの女子と違うっていうか、しっかりしてるっていうか…でも、天然なとこもありそうだし」
「そんな…特に、何も。」
何故か、顔を赤らめている。
図星か?
「一つ聞かせて。何で、俺に顧問頼んだわけ?」
それが、ひっかかっていた。
他にも新任教官はいた。
淡い期待を抱きながら聞いてみた。
「必要だったから、です」
やっぱり、な。
北野は誰でも良かったんだ。
そう思うと、ショックだった。
「ふ〜ん…やっぱ、変わってるわ」
なんて、意味不明なコメントをしてしまう。
北野は、カッコイイとか優しそうとか、そんなので顧問は選ばなかっただろう。


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