秋と春か夏か冬 11話〜『オモイカネ』〜-5
「……恭介って……意外と勉強できないし……その割にカッコ良いから、無駄にモテるし……低血圧で朝は弱いし……すぐ嘘いうし…でも運動神経は人一倍良くて………そーゆーとこ1つ1つ……嫌いだ…」
「…そっか」
「………でもね…私が1番嫌いなところはね……恭介の………恭介の……その…すっごくすっごく優しいところなんだよぉバカぁ〜……」
再び泣き出す美雪。
「……美雪ほどじゃねーよ」
…おまえの方が優しいことを俺は誰よりも知っている。
そして美雪は賢いから……俺が言うことを最初から悟っていたに違いない…。
多分…俺に留学がバレた時から…。
きっと気付いていたと思う……今日言うことも…。
「恭介…彼女として……私の最後のお願い…聞いてくれる?」
「あぁ」
「……抱きしめて…」
「…あぁ」
俺は美雪を抱きしめる。
優しく…でも出来るだけ力強く……温もりだけを感じるように…。
美雪の体は冷たく…震えていた。
「………恭介………ホントに…ホントに……大嫌いだったよ……」
「……あぁ…俺もだ…」
言葉は反対…でも、お互い理解し合っている。
「……じゃぁ…行くね」
「……あぁ…俺はもう少し…ここにいるから」
「……ゎかった……じゃあね………ううん……………さようなら…かな?」
そう言って、悲しい顔で俺から離れ…去っていく美雪。
その顔にまた胸の痛みを感じた。
俺は美雪の姿が見えなくなるまで…美雪をずっと見守っていた。
そして夜の公園に1人になる。
俺は肌寒い公園に独り立ち尽くす。
「……これで良かったんだよな…」
そう呟いて空を見上げる。……ん?なんだ?
恭介の頬に何か触れる。