秋と春か夏か冬 11話〜『オモイカネ』〜-3
「はぁ、食べた食べた。ご馳走さま♪♪」
「食い過ぎだって〜の。遠慮っつー言葉を知らないのか?」
「知りませ〜ん♪」
笑いあいながら、2人は並んで歩く。
「まったく」
「なんか今日は普通のデートっぽかったね♪」
「そうだな。なぁ、公園……寄ってかないか?」
「…うん♪」
「うゎぁ〜この公園初めて入ったなぁ♪この道は通るけど公園には入らないし…恭介はよく来るの?」
「あぁ。よく落ち込むと、この公園のブランコで一人で沈んだり…泣いてたりしてたよ。最後に来たのは……先輩の引退試合だったかな…」
「あはは。泣き虫さんだね♪」
恭介は少し目を閉じて、それから喋った。
「そうだな…俺は自分で思ってるよりずっと弱い。でも、その度に誰かが助けてくれた。理緒や鈴音、和美先輩……そして美雪」
「恭介は弱くないよ?本当に強い人は誰よりも自分の弱さを知ってる人。だから恭介は強い♪♪
みんな少し背中を押しただけ。立ち上がったのは…恭介自身だもん♪」
「はは…お前はそーゆーと思ったよ」
「にはは♪♪」
2人で笑い合う。
そう。
そんなお前だから……いつも背中を押してくれる美雪だから……。
今度は…俺の番だよな?
お前には1番…幸せになってほしい…そしてそれは……。
ココじゃないんだ…。
「…美雪」
恭介は美雪を真っ直ぐ見つめる。
「な〜に?」
「……別れよう」
この時の美雪の表情は忘れられない。
戸惑いと悲しみ、哀しみ…様々な感情が混ざった…そんな顔…。
そして…
「…わかった。わかったから…早く………嘘だって言って…」
美雪は笑顔に戻り…喋り続ける。
「あはは、アッキーってば…ま、前にもこんな嘘ついたよねー?まったく、彼女をイジめるのが好きなんだからぁ。
いつもなら許さないけど…すぐに嘘って言うなら特別に許すよ?さぁ!言うなら…今のう…ち……ヒクッ……うぅ……早く…言ってよ……ぐすッ……早く………ゎぁぁぁん…」
美雪が俺に抱きつく。
でも俺は美雪を抱き締めなかった…。