秋と春か夏か冬 10話〜『誰がための幸せ』〜-6
「夢のことも…留学のこともわかった……ならどうして!なんで留学しないんだ!!!外国でお母さんと暮らした方が良いに決まってるだろ」
「……やっぱりわかってないよ…恭介は。確かに去年までは、絶対留学して外国で暮らすんだって思ってた……でも…」
美雪は恭介の胸に顔を預ける。
「…でも……それと同じくらい……今の私は…恭介と離れたくないんだよ………今は恭介のことで頭がいっぱいなんだよぉ……」
「……ねぇ…ゎたし、どうしたら良いの?お母さんと暮らしたい…でも恭介とも離れたくないよ……ゎがままかな?……ゎかんない…………どうしたらいいの?……どうして1番大事なものは…1つじゃないの?………うぅ……恭介ぇ……ぅゎぁーん!」
美雪は泣き出した。
今まで独りで悩み、溜め込んでいた。
その全てを吐き出し…泣き崩れた。
(………俺は…)
恭介は何も言わず美雪を抱きしめた。
いや……何も言えず…ただ抱きしめることしか…出来なかった……。
「…ごめん。今日は帰るね…」
それから美雪は、一言残して帰っていった。
俺はベットに横になり考える。
(…俺はどうしたら良い?…俺に出来ることは…)
ドタドタドタッ
なんだ?親父か?
でもこんな時間に帰ってこないよな…気のせいか、背中に悪寒が…。
ガチャンッ
ドカッ!!!
「恭介!おまえ美雪ちゃんに何したんだコラァ!!!」
入ってきた人物は、俺が身構えるより早く部屋に入り、俺に蹴りを入れる。
「ぐはっ!ちょっと待て!!!美雪?なんのことだ?確かに俺のせいで泣いてたかもしれんが……」
「やっぱりそーじゃねぇか…美雪ちゃんの代わりに、あたしが殺ってやる。死ね!」
ヒュッ
ドカッ!バキッ!ドゴーーン!
70?ある俺の体を蹴りで簡単に持ち上げ、空中で3連コンボをくわえる。
(し、死ぬ!ヤバイ……マジだ……こ、このままじゃ殺される)