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秋と春か夏か冬
【学園物 恋愛小説】

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秋と春か夏か冬 10話〜『誰がための幸せ』〜-5

「…明らかに空元気だろーが。おぃ…本当に留学の話…断っても良いのか?何かは知らないけど…夢だったんじゃないのか?」

「……もう良いの。その話は…。」

うつむきながら答える。

「良くないだろ!そんな簡単に諦めちゃって良いのかよ」

「簡単なんかじゃない!!!…簡単なんかじゃ……なかったよ…」

大きな声をあげる美雪。

「…どーして相談してくれなかったんだ?俺だって…力になれるかもしれないだろ?」

俺は美雪に救われた。
だからこそ、独りで悩んでる美雪の姿をを見たくない。美雪の力になりたい。

そう思う恭介。

「恭介は…そう言ってくれると思ってた。優しいからね……でもその優しさが…今は逆に……辛いんだよ…」

「…どーゆー意味だ?」


「…もうこうなった以上、全部話したほうが良いよね…」

そう言って語り出す。

「わたしね、小さいとき親が離婚したの。
お母さんもお父さんも大好きだったけど、お母さんが外国に行くからって理由で…お父さんの方が引き取ったみたい」

「淋しかったけど、お父さんが優しかったから大丈夫だった…でも離婚から2年で…お父さんは事故で亡くなってしまった……」

「それからは親戚の家をたらい回し……だから転校ばかりで友達出来なかった。昔はすごい暗かったし…にははは」

そう言って笑う美雪………俺は何も言えなかった。


「でも中学校に入る前に、お父さんの妹……叔母さんが状況を見かねて、私と一緒に暮らすって言ってくれたの。
放浪癖があって今まで状況を知らなかったみたい。
私はその叔母さんのおかげで元気を取り戻していったんだ。」

「それから叔母さんの都合でまた転校。何度目かわかんない……ちょうど中2の冬ごろだったかなぁ」

……それって…

「うん。そこからは恭介の知ってる私がいるんだよ。恭介と出会うの。
始めは…昔の私みたいで無愛想なヤツだなぁって思った♪」

「おれ…全然知らなかった。お前の過去……。いや、興味なかったわけじゃないけど…野暮なことしたくないし……」

「うん。わかってるよ♪恭介はそういう性格だもんね♪♪だから恭介と私は出会ったし、お互い惹かれ合ったんだよ♪」

「…そっか。事情はわかった。でも夢って…それと留学の話は…」

「うん…実は離婚してからも、お母さんとは会ってたの。すごい忙しいんだけど、1年に1回は必ず私に会いに来てくれた。手紙でやりとりもしてたんだ♪」

「お母さんは何度も私と暮らしたいって言ってたけど、小さいときから外国暮らしは危険だから…我慢してたみたい。それに、お母さんも余裕なかったしね」

「だから…中学卒業したら、私と外国で暮らすって約束したの。その約束があったから……転校ばっかで友達が出来なくても、我慢できた。お母さんと外国で暮らす…それが私の夢だった」

そこで恭介が口を出す。


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