いのち短し、××せよ少女!-3
「!?」「!!」
そして、はたと再び目が合う。
「……先生がいつくらいに帰ってくるか聞きたかったんです、けど……」
そう言う彼の視線はあたしの足元に――
「げッ」
いや、足元じゃなかった。
あたしが彼の視線を辿って行くと、そこには太腿までずらされた薄紫のショーツがあった。
(し、信じらんない)
さっきのひとりエッチで下げたショーツ、そのままだった……!
「や……はははは」
笑って誤魔化すあたし。
さて、どうやって言い訳しようか思考を巡らせていたその時だった。
がちゃり。
「?」
彼が、保健室のドアに鍵をかけた。
「え?」
それから、唖然としているあたしの横を通り抜けて、涼しい風の入り込む窓をぴしゃりと閉める。
そしてカーテンを引いてから、さっきの爽やかな笑みとは打って変わった不敵な笑みを浮かべて、あたしの側まで歩み寄る。
「やっぱりね」
彼はあたしの耳元でそう囁いた。
「俺が来る前にあなたがナニしてたか、知ってますよ」
その言葉に、あたしの顔がさっと青ざめて行くのが分かる。
「今授業中で静かだから、ここの声が結構廊下に響いたりするんです」
耳元で囁かれると、ぞくりと全身が総毛立つ。
「……で、あたしにどうしろって?」
何だか弱みを握られた気分になって、あたしは思わず喧嘩を売るような口調で言った。
「このパンツ欲しいの?」
太腿までずらされたショーツを脱いで、彼の目の前に突き出してやる。
すると、彼は低い笑いを漏らし、再びあたしの耳元で囁いた。
「違うよ……もっとイイことがしたい」
――ひょんなことで「保健室でのセックス」が叶ってしまった。
嬉しい反面何だか拍子抜けしてしまう。
「……名前は?」
「1-B、西岡義秋(にしおかよしあき)」
やっぱり、年下なんだ。
それにしてもこの西岡少年、さっきの態度とはえらい違いだ。
純粋無垢っぽい笑顔はどこへやら。丁寧な口調は相変わらずだけど、表情が凄く冷たく見える。
その豹変っぷりにあたしは舌を巻く。
「演技、上手いね。もしかして、先生探してたっていうのも嘘だったりして……」
「本当ですか? 俳優になれるかな。保健室でサボろうと思ってたんだけど、喘ぎが聞こえたから、からかってやろうかなって」
西岡が答えながら、あたしの身体を硬いパイプベッドに押し倒す。
「なっまいき! 年下のくせに」
「ごめんね、先輩」
さっきみたいな爽やかな笑みで答えて、頬に軽くキスする西岡。
彼の大きな手があたしの太腿を這う。
「先輩の名前、まだ聞いてない」
「あ……2-Bの……東春菜」
西岡の手が、早速無防備のあたしの秘所へ滑る。
「や……ぁんッ!」
(ヤバい、声響くんだっけ)
慌てて口を押さえるあたしの手を、西岡が掴んでベッドに押し付ける。
「んッ」
「大丈夫」
言って、あたしの頬に自分の頬を摺り寄せて囁いた。
「誰も来ませんよ」
静かな保健室に、衣擦れの音と卑猥な水音が響いていた。