恋文〜放課後の机3〜-2
「…なんだよ、あいつ…。」
あたしは桐島のアパートから出てすぐに薬局に向かった。
あいつ…ちゃんと食べてるのかな…?
てか一人暮らしなんて…大丈夫なの?
ってあたし何こんなに真剣にあいつの事心配してんのッ!?
あいつはあたしのライバルッ!
あたしの敵ッ!!
……。
だけど今はほっとけないよ…。
さっきあんなに口悪かったけど辛そうだったもん…。
…よし!!
今だけ…あいつが元気になるまで…あたしががんばらなきゃ!!
━━‥
何だよあいつ…詩のやつ…。
いきなり家来ていきなり看病するとか言い出して…。
まあ俺的には嬉しいけど?
でも何も俺が風邪引いてる時じゃなくても…。
こんな…こんな弱い俺を見せたい訳じゃないのに。
いつもそうだ。
今回の転校も…
俺が昔住んでいた町に戻って来るって知った時は本当に嬉しかったんだ。
詩に…俺の『初恋の女の子』に会えると思って、親父に無理言ってこの高校に転入した。
転校初日、教室に入った瞬間俺はすぐに分かった。
窓際の一番後ろの席で、頬杖をつきながらも真っ直ぐにこっちを見る詩を。
━━その瞬間、時が止まった気がした。
十何年ぶりに再会した詩は…何もかも俺が想像した通りだった。
少し茶色がかった髪。
二重の大きい目。
透き通るような白い肌。
もう二度と逢う事はないと思っていた彼女は……長い時間を経てとても綺麗になっていた。
一瞬の内に心奪われて、俺はまた詩に恋をした。
偶然か必然か、席が隣になって俺はこう言った。
『…安達さん隣よろしく。』
十年越しの恋なんだ。
簡単に諦めたりはしない。
俺は…必ず詩を手に入れる。
━━━‥