留学時代A-1
私の名前が呼ばれる。ゆっくりと彼と診察室へ入っていった。
『今日はどうしましたか?隣は彼氏?』
何となく先生は何故私たちがきたか察した様だった。
『はい。今日は・・・』ちゃんと説明出来ないまま、うつむいたら涙がまたこらえきれず落ちてきた。先生はティッシュを渡して彼の方へむきなおした。
彼がしっかりとした口調で先生に説明を始めた。
先生はゆっくりと頷きながら
『なるほど、では彼女もちゃんと検査してみないとね。』
私はようやく顔を上げ先生を見つめた。
『良い彼氏だね〜一緒に付いてきてくれて。』微笑みながら先生は私に話しかけた。
その瞬間私は自分の幼稚さに悔しくなったのと同時に彼自身に感謝した。彼で本当に良かった。
彼は不安げに私の様子を隣で伺っていた。
『では診察を始めます。彼氏は一度外にでてもらって、彼女の次に念のため検査しますからまた呼びますね。』彼は言われるまま外へでていった。でていくまえに
『一人で大丈夫?この先生に何かされたら叫べよ。すぐ戻ってくるから笑』と冗談を言いながらでていった。
先生は苦笑いしていた。そんな彼の一言に少し笑えた。
『こんなときに変な事を言う彼氏だね。笑』『本当に』
先生が下着を脱ぐように伝えた。
診察が始まる瞬間、私は急にこわくなった。情けなかった。
親に申し訳なかった。診察はそんなに長くなかった。
彼が呼ばれて戻ってきた。
隣にすぐすわって手を繋いだ。
『さっ次は君の番だ。彼女にも外にでてもらおうか?』と先生が言い出した位から私はもう外へ向かっていたら彼は『いてもらいたいな〜怖いし笑』と・・
『なんで?!恥ずかしくないの〜』私はびっくりして彼に聞いた。
『うん。手繋いでて♪』
先生は好きにしなさいと言うようにもう何も言わずに診察にとりかかった。
何だか予想もせず変な診察になった。でも私は大分彼のおかげで平常心に戻ってきていた。
『少し痛いので我慢してくださいね〜』
『いた〜〜い〜〜!!!』
私はまた手を握りながら笑っていた。
診察が終わり、検査の結果は後日私の住む町医者の方へ届けてもらう手続きをすませて、外へでた。
携帯には私の友達がこっちについて彼の家へ向かっているとの連絡があり、彼の親友も同じくまた四人で合流し再会した。
本当にみんなに感謝した。嬉しかった。いろいろな事をみつめかえそうと誓った。