死の抗い2〜偽られた伝説〜-5
「そろそろ出発しなきゃまずくないですか?」
「あぁそうだ、しかし車の調子が悪い。長崎へ行くための車を調達したい。嫌な予感はするが駅から電車で、俺達の家がある埼玉の大宮までいこう。」
「何で家に戻るんだ?その辺の車を借りればいいじゃないか?」
「奴らの襲撃にあったときに普通の車じゃ、すぐにおだぶつだ。俺の車は改造をほどこしてある。」
一呼吸おき、辰司が皆に言った。
「もしだ、もし俺と離れることになることがあったら、各自で家に向かえ、住所を渡しておく。そこに次にすべきことをメモしておいた。各自神具の扱いと戦闘時の行動を把握しておくんだぞ。」
辰司は3人に敵襲にあったときにとるフォーメーションを教えた。
「用意できたな、急ぐぞ!!」
「「「おぅっ(はいっ)(了解)」」」
4人はそれぞれの思いを抱き、駆け足で駅へと急いだ。
山を下り、駅へ向かって行く4人。畑の作物は青々と育っているが、周りを渦巻く静寂が畑の主人がもうこの地にはいないことを物語っている。
「あともう少しで、収穫だったのに…。」
早紀が無人の畑を見て呟く。
「俺達が早くこの事件を解決すれば、畑の主も帰ってくるよ。だから大丈夫。」
「解決できれば、ね。」
「誰だ!?」
啓が早紀を励ましたとき、駅まであと数百メートルと迫った道路を4人の男が立ち塞ぐ。
その男達はサングラスをして全身を黒いスーツで包み、映画の何とかリックスのエージェントみたいで、いかにも悪者です、と物語っているようだ。
リーダー格の男が話し出す。
「いやー、予想外でしたよ。私どもの部下に『血』を使わせたのですがね、始末しそこないましたか。中々やるようですね。」
辰司が3人を守るように先頭に立つ。
「お前達が『BAT-GROUP』のメンバーか。」
啓や早紀にもその名前にはニュース等で聞き覚えがあった。