「僕は何?…」-1
いつもの曜日。
いつもの時間。
僕はいつもの扉の前であの方を呼ぶ。
数秒の間の後、あの方の声と共に扉が開く。
「はぁ〜い、ちょっと待ってて。」
パタパタパタ…
はずだったが、何やら中で走り回るあの方。
いつもの時間なのに。
少しでも間がずれると、僕の叫びは切なくなる。ご馳走を目の前に、
「待て。」
と、あの方に言われてる様。我慢出来ない。
次第に体が熱くなる。
ガチャガチャ…
無意識にノブを上下に動かすが、開かない。
あの方が受け入れてくれるまで、僕は外にいなくちゃいけない。
早くあの方に会いたい衝動と、体の血と、理性と欲望が絡み合い、胸が締め付けられる。
「貴雄は…私の可愛いペット。わかるでしょ?」
僕はペットらしい。あの方が良く言ってる。首にそういう証もある。
あるお店で、僕はあの方に一目惚れした。
あの方はパートで、週に何日か来ていた。
薬指のリングはわかってたけど、我慢出来なかった。僕は我が儘だ。
暗い部屋でうずくまってる時は、あの方は何でもしてくれた。どんな衣装でも、どこでも、いつでも。
暗闇の中で、僕はあの方を毎日汚した。何度も、何度も。
でも、足りない。我が儘だから。
ちょうど店長が居ない日があった。僕とあの方と二人切り。あの方の座る椅子の丁度すぐ傍に僕も座る。
ハァッ…ハァッ…
鼓動が高まる。あの方の匂いがする。甘い、とろけてしまう様な、そんな匂い。
我慢出来ない。
そう考えた時には、もうあの方の肉厚な唇に僕の唾液まみれの舌を絡めていた。