秋と春か夏か冬 07話〜『ユメノオワリ』〜-6
「ですが……最悪の場合………」
医者の言葉はよく覚えていません。
ただどうしても気になることがあった。
「あの!バスケは?恭介…事故にあった人はバスケの選手なんです!!元通りに…動けるんですよね?」
「…事故の大部分は利腕の方でして………難しいと思います」
泣きたくなった…いや、独りなら泣いていただろう。
でも鈴ちゃんが大泣きしてるから…僕まで泣いたら余計に鈴ちゃんを不安にさせてしまう。
それに…
この話を聞いて一番辛い想いをするのは…恭介だ。
僕は泣いちゃいけない。絶対に泣いちゃダメだ…。
それから3日後、恭介の意識が回復した。
僕は恭介を必死に支えようと決めた。
きみは1番の親友だから……かつて…きみが僕にしてくれたみたいに…。
だがあの事故から恭介は1度も泣いてなかった。
僕たちの前だから泣かないんじゃない。
本当に泣いていないんだと…僕にはわかった。
でもそんな恭介を見るのが僕には辛くて…。
夏休み中のリハビリを終え、新学期が始まったあたりから……恭介は変わっていった。
僕たちと距離を置こうとしている…。
迷惑をかけたくないと言う恭介の優しさはわかるが……僕には腹がたった。
その恭介の遠慮が……そして…何も出来ない僕自身に…………無償に怒りを感じた。
離れようとする恭介に、僕と鈴ちゃんは変わらない態度で話しかけ続けた。
でもダメだった…だんだんと溝が深くなり……壁もできはじめた…。
…僕と鈴ちゃんには…どうすることも出来なかった…。
僕が諦めちゃいけない…
でもその意志がだんだんと弱まりかけていく……
――そんな時だった
美雪さんが転校してきたのは…
「はじめまして!冬白 美雪(トウハク ミユキ)って言います。微妙な時期に転校してきたけどよろしくね♪♪」
真っ白な冬の訪れとともに……美しい雪がこの町にやってきた…。
恭介の…色を失った世界に……綺麗なキレイな白がやってきた…。
何色にも染めてくれる………白い雪が……。
つづく…。